リーティアの隙あらば音楽語り

サブカル系音楽を中心に自分が気に入ったものを布教するだけのブログです

最強コンテンツ「電音部」への期待

【報告】

おかげさまで6月も弊ブログのPVが1000を達成できました。ひとえに読んでくださる皆さんのおかげです。ありがとうございます。

 

さて、世の中でC-virusが暗躍してる中で、新たなカルチャーとして流行を見せ始めたDJ配信なんですけど、その総決算ともいえるバンダイナムコ主催の一大イベント「ASOBINOTE ONLINE FES」が先日あったんですね。最大同時接続は16000人。全ての発端となったMU2020以上の盛り上がりを見せたイベントでしたが、それを全て吹き飛ばすような衝撃の発表。今日はそれについての個人的な思いをTwitterじゃ書ききれないのでまとめていこうかなーと思います。

 

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これがその新たなコンテンツの名前です。世界観としては、電子音楽がカルチャーの中心となった未来で、新たなエンターテインメント「DJバトル」に青春を捧げる女子高生達の物語。まぁ割とありがちな?ストーリーのEDM版と考えてもらっていいのかなって感じです。

本題はここからですよ。メインシナリオを構成するグループが現在4つあるんですけど、それぞれの声のキャスティングを声優・アイドル・VTuberで分業している、ということです。ついに時代がここまで来たかっていう印象です。特にVTuber。まず、エンターテインメント業界最大手のバンダイナムコとバーチャルタレント業界のトップランナーであるにじさんじが実質的に手を組んだということ。これがこのコンテンツに対する最初の衝撃でした。演技力云々で職業声優に比べて劣っているという点は多少あると思いますが、それでも一大企業が昨今のVTuberの隆盛を無視できないものと捉えてそのファン層を既存のコンテンツの中に取り込もうと動いたことは個人的にはかなり評価したいし、大きくサブカルチャーの歴史が変わってくると思います。VTuberっていう業界はこれまでいい意味でも悪い意味でも閉鎖的な空間だったので、それがある程度外界とつながることによってどのような反応が起きるのか、大いに注目していきたいものじゃないですか?

 

次。やっぱり音楽のオタクとしてはここが最大の衝撃でしたね。

圧倒的コンポーザー陣。もはや豪華という言葉で収めるのがおこがましいレベル。

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「電音部」公式Twitterより

.....わけわかんなくないですか?

クラブミュージック的視点でアニソン界を牽引し続けるレジェンド、kz・TAKU INOUE。Kawaii Future Bassというフィールドからインターネットで輝きを放つ新時代のトラックメイカー、Snail's House・Yunomi・YUC'e・KOTONOHOUSEといった面々。さらには作曲系VTuberとして活躍する周防パトラ・ミディ。これだけの最強の布陣が集まったら負ける要素どこにもない気がするんですが...

最近はいわゆる作曲家オタクの需要の高まりもあって、業界で多く信頼を得ている、いわゆる強いクリエイターを多く呼んでそのネーミングで売り込む、といった戦略も常套手段と化してきているわけなんですけど、その中でもこれはやばすぎました。何がやばいかっていえば、クラブミュージックというコンセプトに対してこの人選ができるってことなんですよ。kzさんやイノタクさんはともかくとして、この中の大半はアニソンの作曲経験がない人達で、いわゆる二次元の界隈とはほぼ切り離されていると言っていいフィールドで純度の高いクラブミュージックを作ってる人達なんですね。クラブによく行く人たちからしたらすっかりお馴染みの面子で、この人たちが一堂に集結する「暴力的にカワイイ」なんてイベントがあったりしますが。要するにバンダイナムコさん、このコンテンツに関して既存のアニソンの路線で勝負する気は全くないんですよね多分。クラブミュージックがコンセプトである以上それに見合う本格的なサウンドを持ってくるってことです。同じようなコンセプトであるブシロードのD4DJがクラブサウンドを出しつつもあくまで楽曲の基軸をアニソンに置いていたことを考えれば随分攻めたなって感じですね。ここもそれまでのオタク受けは意識せず、世界観で新たなファン層を獲得していく意気込みが見て取れると思います。実際にホームページに飛ぶとMoe Shopが手掛けたティザーBGMを聴くことができるんですが、 

 めちゃくちゃ「それ!!!!!!」って思っちゃいました。ボーカル曲をチラ見せしちゃえば注目度上げられそうなところをあえてそうしない。声や歌唱で注目させるんじゃなくてあくまでコンテンツの中心は音楽だっていう態度が示されててすごく好感が持てる感じがしました。しかもこのBGM、このジャンルをよく聴く人からすれば一瞬でMoe Shopだとわかるような持ち味全開のサウンドでして。コンポーザー側からしても二次元コンテンツの曲だからそっちに寄せるなんてことはなく、あくまで持ち味全開で勝負しに来てくれると思います。イベントの中でYUC'e、Nor、TAKU INOUE、kzの楽曲がそれぞれ披露されたんですけど、かなりクラブサウンドに振り切っている感じでアニソンらしさなるものはほぼなかったです。日本ではクラブミュージックって結構アンダーグラウンドな分野で人を選ぶ傾向が強かった中で、この電音部を通して声優・アイドルソングと結びつく中で今後どういった展開を見せてくるか。すごく楽しみなところだと思います。

あとは個人的な願望として、インターネットのトラックメイカーがアニソンに進出する突破口が何らかの形で開けてほしいなっていうのをずっと思っていたので、今回こういう形でそれが実現したのがすごく嬉しいですね。これを通して注目度がさらに上がってアニソンとかでクレジットを見かける存在になっていってくれたらと思うと期待が止まないです。←後方彼氏面?

 

3つ目の画期的な要素が二次創作の容認ですね。要するに営利目的でない限りRemix作り放題ってことです。公式、しかもバンダイナムコともあろう大企業が公式に認める立場を示す、その前例を作ったってとんでもないことでは?しかもそれだけに限らず、二次創作を公式側が逆に利用する可能性すらもガイドラインで示唆されてるんですね。ほんとにやばいことですよ。これを機に音楽を取り巻く著作権の在り方が変わるかもしれないです。

背景とすれば、今回招集されているコンポーザーの大半が同人活動から知名度を高めた人なことが大きいと思います。今やインターネット音楽の王のような存在のkzさんも元はニコニコからキャリアが始まってるし、他のトラックメイカーだとSoundCloudが出発点になってる人が圧倒的に多いですね。何というか、10年前にボカロPが一気にアニソンに進出してきた時の状況と似てる感じがします。kzさんは2010年に俺妹のアニメのOPに抜擢されてから一気にアニソン請負人としての地位を確かなものにしたんですけど、あのアニメはEDも一般公募だったんですよ。冷静に考えたらすごいですよね。注目アニメのエンディングが1話ごとに公募って。そしてそこから一気に注目されたのが今や神曲マシーンと化したやしきんさんなんですよ。そんなことがあるから公式が同人活動にアンテナを張るのってかなり大事だし、公式がそういった芽を摘んでしまうのは結果的に利にならなかったりするわけで、バンダイナムコはその辺をすごい分かってくれてる気がしましたね。今後の同人活動の展開次第ではもしかしたらSoundCloudが一般のオタクにもメジャーなアプリになってくる可能性すらあるので期待です。

 

 

いやー、発表から丸1日くらい興奮してやばいことになってたので言いたいことめちゃくちゃあったのにそれを文章にするのは到底無理だったんですけど、やっと落ち着いて考えを整理できる程度まではなりました。

ありとあらゆる点が新たな試みで、サブカルチャーの在り方を大きく変える可能性を持つコンテンツ。「電音部」を表すとしたらこういう表現になると思います。ただ新しいことをやるとなれば当たり前ですが問題はつきものです。そしてまず挙げられる最大の問題は異なるジャンルのオタクが1つのジャンルに集結した時何が起きるか、ということでしょう。僕はおそらくインターネット音楽・トラックメイカーのオタクとしてこれと付き合っていくことになると思いますが、おそらく声優オタクとVTuberのオタクの間でまず対立が出るでしょうし、既存のアニソンのオタクと電子音楽のオタクとの間でも、ゆくゆくは価値観の食い違いが起きてくるとは思います。ただやっぱり新しい試みをする上では対立や批判はつきものだと思うし、そういうもんだって割り切っちゃうのが一番ですかね。ボカロPや歌い手がアニソンに進出してくる段階でもそういうものはあったでしょうし。だからこれだけ言っておきます。

名前「だけ」で判断するな

もちろん有名な人はそれなりの実力が伴ってることは間違いないと思います。でも有名だからすごい、知らないからすごくないとか、歌い手だから、VTuberだから大したことないみたいな、そういう決めつけで物を言うのは失礼以前に自分が損してるよって話です。これって僕ら作曲家オタクの悪い癖でもあって、どうしてもネーミングに縛られて有名なコンポーザーの曲ばっか聴いてるってやっちゃいがちなんですよ。そういう自分たちに対する戒めも込めて。対立が起きるのは仕方ないです。けど見る前、聴く前から文句を言うのはやめようねってことです。文句あるならスルーしとけって思ってます。はい。

 

いろいろ書きましたが、今のところ僕はこの電音部に対してプラスの感情しか抱いてないし、この間プレイされた曲を聴く限りでもその期待が裏切られる心配はあんまりしてないです、曲さえよければ90点はあげられるのでw。そういうわけで。追いますので。強い曲楽しみにしてます運営さん。よろしくお願いしますね!!

 

THANK YOU FOR READING.

2020年上半期のすごい曲を振り返る vol.2

ご無沙汰してます。。今回前書き必要...なのか?

何か書くこともないし、早速10選後半戦、差し掛かって行こうかな~。

前回のやつ読んでないよ~という方のためにURL貼っておきます、何卒よろしくお願いします。。。

 

letia-musiclover.hatenablog.com

 前回は割と被らないように...っていうつもりだったんですけど、アンチグラビティ・ガールとNEXT COLOR PLANETは大鉄板だったっぽくて、、、まぁしょうがないね。あの2曲は今年のV楽曲の特大アンセムだったので。いい曲は何回被ってもいい

そんなわけで後半は結構ニッチな曲で勝負しようかなーってことで、こんないい曲あったんだ!って思わせられるような選曲とレビューを目指していきますよ。退屈にならないように頑張って書きます...。

 

 

6. mist - 早見沙織

作詞:早見沙織 作曲・編曲:横山克 3月25日リリース「シスターシティーズ」収録


早見沙織「mist」Creator's MV

 

オタクとしてはやっぱり声優楽曲は外せないということで、僕がアーティストとして一番推している早見沙織のアルバム「シスターシティーズ」から、四月は君の嘘鉄血のオルフェンズなどの劇伴を手掛けている横山克さんの書き下ろし楽曲を紹介しますね。早見さんは今まではスマイルカンパニーの作編曲家が手掛けていることが多かったんですけど、このミニアルバムは他にKIRINJIの堀込泰行さんやユニゾンの田淵氏などバラエティ豊富な作曲陣を招いた意欲作ですね。で、その中から何でこの曲を選んだかと言えば、はっきり言っちゃいます。趣味です。単純に僕がエレクトロサウンドが好きだからってだけですね。エレクトロと言えば今年に入ってインターネットの電子音楽を大量に聴いてきましたけど、それらとは全くの別ベクトル。最小限の音数、コードの動きで、環境に溶け込んでくるような音楽を目指した作品、っていう感じの印象を受けました。空間を漂う粒子を想起させるようなシンセサイザーの音と、その隙間を敷き詰めるように奏でられるストリングスの音。それが早見さんの美しいロングトーンと合わさって心地いい、アンビエントのようなサウンドを生んでいる、という感じです。1番のAメロで入っているせせらぎの音が2Aでは入ってないだとか、僅かな部分までこだわり抜かれていて、とても手の込んだ展開をしていると思います。決して派手に見せるタイプの曲ではない、それでいて存在感を持つ傑作だなと感じました。

あっ、気になったらこの曲に限らずぜひ他の曲も聴いてみてほしいですね。ユニゾン田淵氏の作曲した「PLACE」なんかはユニゾンや他のアーティストへの提供では絶対に見せないような、早見さんだからこそのアプローチを仕掛けていて、プロデューサーとしての彼の実力の高さを見て取れると思います。ぜひに...

 

7. Again (feat. Rachie) - Kirara Magic

作詞・作曲・編曲:Kirara Magic 3月25日デジタルリリース


Kirara Magic - Again (feat. Rachie)

 

絶対被らないだろ枠その1。知ってる人相当コアだと思いますこれ...

Kirara Magic、どこかで紹介する機会を設けたいなーと思いつつも今日まで紹介できずじまいになってしまっていました。SoundCloudを中心に楽曲投稿をしているクリエイターなんですけど、とにかく最高にKawaiiなFuture Bassを作られる方で。ある種一つの到達点みたく感じる部分もあるのでぜひ聴いてほしいところです。というところで今回紹介する「Again」っていう曲なんですけど、イントロのビブラフォン(なのか?)の音からしてもう楽しくなってくるような、絶対これ好きだなって思っちゃいました。歌詞が全て英語でメロディも洋楽っぽく聴こえるんですけど、コード進行がJ-POP的な所がすごく良いなって思いました。全体的なアレンジもそこまでクラブミュージックに寄せずにポップとEDMの間で絶妙なバランスを保っているのも、Kawaiiの要素を引き立てる一因のように感じますね。ボーカルのRachie(れいち)さんは他にも近いところだとiMeidenというアーティストの曲にもボーカルで参加したりしていて、可愛くも少しハスキーがかった歌声が個人的にすごく好きです。調べてみたところインドネシア出身の方らしいです。

ちなみに他の曲だとバチバチのクラブサウンドも作っていて、EDM系のサウンドレーベルMEGAREXのコンピレーションにも参加していたりとなかなかに幅広い作風を操る方です。こちらもよければぜひといった感じです。

 

8. エフェメラ - *Luna feat. ゆある

作詞・作曲・編曲:*Luna リリース未定(4月24日MV公開)


エフェメラ (Ephemera) / *Luna feat.ゆある

 

先月末のブログで紹介させていただいた*Lunaさんが今年中にリリースする予定のアルバム「惑星のエフェメラ」の表題曲になる曲です。

全く違うフレーズが合わさって1つの曲を形成している、ポップスの中では異例中の異例と言っていい構成だと思います。1番・2番、またサビといった概念がこの曲には存在せず、A~Eメロの全5つのフレーズから出来ています。「惑星のエフェメラ」は未来を舞台にしたストーリ仕立てのコンセプトアルバムで、この曲はその序章という設定のようです。導入は*Lunaさんお得意のKawaii Future Bassのようなサウンドが響きます。いつもと変わらない何気ない朝。このアルバムの物語は主人公の少年が図書館に行き、一冊の本に出会うところから始まります。それが次のBメロですね。イントロからは一転、ストリングスが響き渡るワルツのメロディに。転調を繰り返しながら盛り上がりを見せ、壮大な物語の始まりを予感させます。そして次のCメロへ。スウィングするメロディと共に始まるストーリーテリング。世界を正すために戦った、孤独な戦士の物語。それが少年の心を動かします。そして曲は最大の盛り上がりを見せるD・Eメロへと繋がり、最後もう一度Aメロのメロディを繰り返し、少年の物語がスタートしていきます。

未来を舞台にしているという点でFuture Bassを基軸としながら、多彩な展開を加え芸術性を追求しているというのは、一般的なクラブミュージックとは完全に一線を画していると言っていい気がします。加えて全てのフレーズにおいて変わり目で転調しており、いくつもの表情を一曲の中で見せてくれている点もものすごく評価できます。インターネットの音楽という前衛的なフィールドにおいても、ここまで大胆に攻めた曲というのはほとんどない気がするのでぜひ聴いてほしいということで、今回10選に入れました。惑星のエフェメラ、その全貌が楽しみです。

 

9. city hop - Marpril

作詞・作曲・編曲:エハラミオリ 5月18日リリース「city hop」収録


Marpril - city hop [Official Music Video]

 

楽曲クオリティ・映像クオリティ両面でそのレベルの高さを見せつけ、今なお進化し続けるバーチャルユニットMarpril(マープリル)がデビュー1周年を機にリリースした1stアルバム「city hop」からその名を冠したリードトラックです。作曲は総合プロデュースを手掛けるエハラミオリ

明るい一面とダークでミステリアスな一面、1曲で2度美味しい曲です。PSYQUI作曲の「Girly Cupid」なんかもキュートな曲にバチバチのドロップをかましてくる曲でしたが、これもその例に漏れません。明るい部分はダンスタブルというよりはドラムンベースで疾走感を際立たせ、クールビューティーなイメージを強調させている感じですね。そしてAメロBメロからこのドロップは想像がつかなかった。やられたなって感じ。今回はあえて映像の方にも言及したいんですけど、もはや生身と遜色ないレベルのキレキレのダンスには目を奪われましたね。3Dモーションの技術ってここまで来てるのかと。カメラワークもすごい。相当手が込んでます。ちなみに横断歩道の向こうに描かれているのはSheep in the light(デビュー曲)のMVの街並みです。この辺すごく文脈が感じられてていいですね。

この曲を聴いて感じたのが、Marprilに限らず、VTuberという界隈そのものの驚くほどの成長速度の速さですね。デビューからわずか1年でこれだけレベルの高い音楽・表現に挑戦してるのって、冷静に考えたらとんでもないことじゃないですか?このコンテンツそのものも誕生してから3年で多くの支持を集めるに至っていて、これからもっと成長の可能性を秘めていると思います。めちゃくちゃすごい、でもまだ上に行ける。純粋な感想としてこの曲を聴いてそう思いました。

 

10. シー・チェンジ - 長谷川白紙

作詞・作曲・編曲:長谷川白紙 5月29日リリース「夢の骨が襲いかかる!」収録


長谷川白紙 - シー・チェンジ (HAKUSHI HASEGAWA - Sea Change) [Official Audio]

 

今回は唯一のオタクソング以外からの選曲かな?いや、これもニッチっていう意味ではオタクソングなのか...?

長谷川白紙、先月のSecret Sky Festivalでのライブを見てから衝撃を受けて聴き始めたんですけど、本当にすごすぎてすごい以外の言葉が見つからない。独特のコード感であったり、現代音楽的な音の組み立て方であったり、自分のリテラシーでは理解が追いつかない、まるで天上の存在のような、そんな印象を受けました。同い年とか信じたくない...

そんな彼が先月末に発売した新譜「夢の骨が襲いかかる!」は全7曲中6曲がカバーなんですが、これはその1曲のオリジナル曲です。凄すぎた(n回目) 何でピアノ1台でこんな厚みのある音楽作れんだ。。。彼の音楽には地に足がついていないような、いい意味での不安定感があるのですが、今回もそれは健在でした。全く想像できないような小転調があったり、とにかく何でそのメロディにそのコードがつくんだよみたいなのの連続。編曲の技巧的な面もさることながら、彼のウィスパーボイスが感情に訴えかけてくるものがあります。心の内側で何かを叫んでいるような、そんな儚さを持った歌声。揺蕩う感じ、ともとれるんですけど、最初に紹介した早見さんのそれとは違って、どこにも行けずに1つの場所を漂っているようなイメージを、この曲に抱きました。

他の6曲は全てカバーなんですが、どの曲も原曲とは全く違う長谷川白紙の世界に塗り替えられていて、全く別物のような印象を受けます。特にすごかったのが最後のホール・ニュー・ワールドのカバーですね。あれは僕らの知ってるアラジンの曲ではないです。エレピ1台と天才的なリハモで全く違う世界を持つ曲に完全に生まれ変わってます。正直こんなにカバーで衝撃を受けたのは未だかつてなかったかもしれないと思うくらい、ヤバいと思ってしまった。そちらもよければ、いやぜひ聴いてください。

 

 

いやー、語った語った。そのうちどれくらいが本質情報なのかわかりませんが...

 

個人的にかなりフォロワーさんが聴いてなさそうなニッチな選曲したつもりなので反響あったら嬉しいなって感じですね。布教はブログのやりがいなので...

個人的にこういう10選とか、そういうベストを選ぶ時の基準には「そのフィールドにおける斬新さ」を置いてたりします。VTuberソングでファンクを取り入れたNEXT COLOR PLANETを選んでみたり、声優ソングの中ではアニソン的要素が薄めの早見沙織さんの曲を選んでみたりっていうのはそういうことだったりします。あれ、これってもしかしてただの逆張りオタク?そんな気がしてきたね。

 

さて、これにて僕の10選は出そろいました。正直めちゃくちゃ苦労しました。いい曲多すぎてその中から10に絞るとかもったいねーーーって感じでした。あとはゆっくりフォロワーさんの選ぶ曲を眺めることにしようかな... 気づいた方いるかもしれませんが今回色文字全く使ってません。どうでもいいか。ではでは。今回もお付き合いありがとうございました~~~

 

2020年上半期のすごい曲を振り返る vol.1

...すいませんまた2週間以上更新をサボってしまいましたリーティアです。

本日は皆さんに大変悲しいお知らせがあります。

 

2020年が半分終わります。

 

嫌だ!!!!社会人になんかなりたくない!!!!(絶望)

そんなことを言っていても時の流れが止まることはないらしいね...インターン?知るかそんなもんって感じです。いっそ全部潰れん?

 

さて、上半期が終わるということは、スーパー振り返りタイムということですね。ということで今回から2記事かけて今年上半期よかった曲10曲を紹介していきたいと思います。。。

2020年、今年は今までの中でも特にたくさんいい曲を見つけられたなっていう自負があるんですけど、その中でも大きかったことと言えば、

VTuberに出会ったこと

やっぱりこれですね。正直最初に聴くまでどこか侮っていた節があったんですけど、本当に偏見はよくないですね。普通のYouTuberのように実況などを主に活動しているライバーばかりではなく、歌をメインに活動しているライバーもたくさんいるっていうこともこの界隈を調べていく中で知ったことだったり。マジで良曲の宝庫って感じで掘れば掘るほどいい曲が出てきてびっくりしました。そんなVTuberのいい曲も今回何曲かノミネートしてみたので紹介しますね。

 

とりあえずできるだけ過去のブログで未紹介のもの(紹介済のものもいくつかありますが)、フォロワーさんと被りそうにないものっていう基準で選んでみました。そしたらなんか知らないけど3月リリースの曲ばかりになってしまい......まぁ確かに3月いい曲いっぱい出たもんね。しょうがないね。今回は前編ということで、5曲紹介していきたいなと思います。

 

※紹介順はリリース日の早い順

 

 

1. 静かにHold Me Tight (feat. KMNZ LIZ & nyankobrq) - 中村さんそ

prod. by nyankobrq 3月1日リリース「中村さんそと呼吸して」収録


中村さんそ - 静かにHold Me Tight feat.KMNZ LIZ(prod by nyankobrq)

 

同人音楽のフィールドで活動するシンガーソングライター・中村さんそさんが今年春のM3にて発売したミニアルバム「中村さんそと呼吸して」のリードトラックとして収録されたトラックで、作曲を手掛けているのはnyankobrqさん。こちらは代表曲としてtwinkle night (feat. somunia) が割と有名です。

トラックの作りとしては循環コードでそんなに複雑なものではないんですけど、そのコード進行が絶妙にいいです。IV△7→IV6→IIIm7→VIm7→IV#m7-5→IV6→IIIm7→VIm7のこの太字にした部分のハーフディミニッシュ。同じメロディを2回繰り返す時に2回目のルートの音を半音上げてるだけなんですけどこれがされてるだけで変化がつくんですよ。このテクニックって実はあの「コネクト」のBメロなんかでも使われていて、普通に聞き流してるだけでは気付かないけど、聴いてて飽きない曲にはこういう微妙なテクが使われてたり。で、このチルいLo-fi Hiphopチックなサウンドに乗っかる萌え声ボーカル。このギャップがすごく革新的で、今までにない組み合わせなんですよ。もうこんなの弱いわけないんだよなぁ!聴けば聴くほどにやみつきになること間違いなしです。

 

2. 罰と罰 - 鹿乃

作詞:鹿乃 作曲:田中秀和 編曲:佐高陵平(ex. y0c1e) 3月4日リリース「yuanfen」収録

www.youtube.com

こちらは以前にもブログで取り上げましたが改めての紹介ということで。全楽曲を田中秀和氏がプロデュースした鹿乃さんのアルバム「yuanfen」より8曲目です。この曲を以前紹介した際に「いい意味でアルバムのコンセプトから外れた曲」といった表現をしたんですが、この曲の個性は何と言ってもy0c1eこと佐高陵平氏によるサイケデリックな編曲。y0c1eさんの代表作であるナナシスの「Cocoro Magical」のようなキャッチーな曲からは想像できない、想像の斜め上を行くミステリアスな雰囲気。y0c1eさんは以前にごちうさのキャラソンとして「パッと!花咲くティーポット」という南米サンバ調の楽曲を書きおろしているのですが、この曲にもその影響を受けたようなビートが見受けられつつもさらにそこにサイケデリックトランスを混ぜてぐちゃぐちゃにしたような、もはや禍々しいという表現が相応しい、そんな曲になっています。そしてそれを抜群のリリックセンスによってその魅力が数段跳ね上がっていて。普通にメロディがあるうえにフリースタイルラップのように韻を踏んでいる日本語と英語の混ざった単語の羅列を置いてくるってなかなか攻めてるなって思いました。最初にこの曲の感想を書いた時はまだ歌詞を知らない状態だったのでこっちに言及できたのはこっちが初めてですね。

「yuanfen」については以前に書いたブログで長々と語らせてもらっているので良ければそっちの方もチェックしてもらえたらなーと思います。

letia-musiclover.hatenablog.com

 

3. WWW (feat. Edoga-Sullivan) - Moe Shop

作詞:佐々木萌(エドガー・サリヴァン) 作曲・編曲:Moe Shop 3月6日リリース


Moe Shop - WWW (feat. EDOGA-SULLIVAN)

 

こちらはFuture Funkのフィールドで活躍するフランス人トラックメイカーMoe Shopがエドガー・サリヴァンのボーカル佐々木萌さんを招いて作った楽曲です。まさに萌え×萌えですね。

で、もうこの曲を最初に聴いた時の衝撃ときたらそれはすごいものでした。何でフランス人が日本人よりJ-POPを理解してるの?って感じです。本当に。何もこの曲に限った話ではないんですけど、Moe Shopの作る曲のコード進行って渋谷系とかその辺のジャンルの音楽から影響を受けている感じがして、難解ではあるけど耳馴染みはすごくいいんですよね。そこにさらに2000年代の流行J-POP風のメロディ乗せられたらね...?そりゃなにこれやばってなると思うんですよ。おまけにそれをフランス人が作ってるなんて言われた日にはもう頭上がんないです。ちなみに曲名の「WWW」ってどういう意味なんだろうって思ったんですけど、どうやら歌詞を見る限り「ワールドワイドワンルーム」っぽいですね。ワンルームから繋がる世界...まさしくインターネットのアンセムじゃないですかやだー まじで大バズりしてほしいこの曲。Moe Shop、他にもいい曲作りまくってるので是非是非チェックしてもらえたらって感じです。

 

4. アンチグラビティ・ガール - 月ノ美兎

作詞:MCTC 作曲・編曲:TAKU INOUE 3月18日リリース「SMASH the PAINT!!」収録


「SMASH The PAINT!!」収録曲 【『アンチグラビティ・ガール』月ノ美兎】公式フルMV

 

単刀直入に言いますか。2020年V界の大アンセムイノタクとんでもないものを生み出してくれたな...

この曲もブログで紹介するの2回目なんですけどあえて。世界的に見てもドラムの音ってどんどんサンプリングが主流になりつつある中であえてエレクトロに生ドラムのサウンドを入れていくスタイル。まじでこんなことできるのイノタクさんしかいなくないですか...?そしてそんな癖の強いアレンジの中でも物凄い存在感を放ってくる伸びやかなメロディ。アンチグラビティ・ガールという題名が示すように、ふわっと浮かんでどこか知らない場所に連れて行ってくれるような、そんな幻想を抱かせてくれます。そしてこんな元気な曲なのに不思議と感動させられるんですよ。最近Vにハマった僕ですらこの反応なんだから2年間ずっと委員長を見てきたリスナーからしたら感動も一入なんだろうなという感じです。

この曲が入ったアルバムの総合プロデュースを手掛けたのはkzさんだったんですけど、その最後を飾る委員長の曲をあえて自分では書かず盟友イノタクさんに任せた、その先見の明も本当にすごいなって思うんですよね。過去記事ではそのアルバム「SMASH the PAINT!!」についても書かせてもらってます。ぜひチェックしていただければと...

letia-musiclover.hatenablog.com

 このブログを書いた段階ではまだでしたが先日ついにサブスク配信が開始されました!ぜひたくさんの人とこのアルバムの感動を共有したいので聴いてくださいませ...

 

5. NEXT COLOR PLANET - 星街すいせい

作詞:星街すいせい 作曲・編曲:酒井拓也 (Arte Refact) 3月22日デジタルリリース


NEXT COLOR PLANET / 星街すいせい

 

先日チャンネル登録者数が30万を突破した今V界で飛ぶ鳥を落とす勢いで人気急上昇中のホロライブ所属の星街すいせいちゃんの3曲目のオリジナル曲です。今回プロデュースを担当したのがこちらもアニソン界で話題沸騰中の音楽制作会社Arte Refact酒井拓也さん。実はArte Refactの曲を聴くのはこの曲が初めてだったんですけど、この曲がマジで何でもっと早く注目しなかったんだって公開するレベルですごくて。ファンク、ネオシティポップの部類としてこの曲はあまりに完成されてましたね。ベースのグルーヴの紡ぎ方、ブラスセクションのアレンジ共にハイレベルすぎました。そしてボーカルが曲の良さを最大限引き出していて本当に上手い。多分VTuberって実際の顔が見えない分ライバーのスキルがより如実に出てくる界隈のような気がしているんですが、それならこれだけの歌唱力があってさらに動画編集スキルも持っているとなればこの高い人気もうなづけるような気がします。

僕が去年印象に残った曲として以前Official髭男dismの「最後の恋煩い」を挙げたんですけど、今また邦楽シーンはシティポップの再評価が起きている気がしていて、この曲もその波に乗った曲だと思うので、これが上手いことVTuber起爆剤になってくれればという思いもありますね。

 

 

前編、こんな感じです。

ひとえに「オタクソング」って言っても色々なものがあるなーってVとか同人の音楽を掘っていく中で思った半年でしたね。そしてやっぱり掘れば掘るほどいい音楽が出てくるっていうのはどこの界隈でも変わらないですね。世の中すごい音楽多すぎ。

多分後半の方がニッチな選曲になるんじゃないかなーと個人的には思ってます。乞うご期待。

 

いやーしかし文章書くの難しいね。何となく伝えたいことは思い浮かんでも、なかなかそれが言葉に直ってくれないなーっていうもどかしさを日々感じながらブログを書いてます。あとレポートもな。あいつはマジで爆ぜてくれ

まぁ次回もあるので後書きをそんなダラダラ書くこともないような気がするので今回はこの辺にしときます。ではまたしばらくしたら~~~

 

J-POP、やたら「青」を歌いたがる説を考察してみた

......6月になりましたね。

最近の生活ですか?一周回ってコロ助って何だっけ?という感じになってきました。

引きこもりの人権が認められている!!!!引きこもり最高!!!!

 

6月といえば、梅雨の季節になりますね。雨の日続きで日も差さなくて何となく気分もブルーになってくるようなそんな時期です。ブルーといえば、最近Apple Musicでコンセプトごとにプレイリストを作ってみて、そのひとつに「青」をテーマにしたプレイリストを作ってみたんですね。他に「夏」と「夜」のプレイリストも作りました。そこで一つ感じたことがあったんですけど、

 

「青」がテーマの曲、やたら多くない?

 

他の色に関して、例えば曲名に「RED」がついている曲だと僕のライブラリの中には「BLUE」の半分もない。それくらい、青がテーマの曲って圧倒的に多いんだなってことが、今回プレイリストを作るという作業をしてみてとても大きな気付きだったんですね。もしかしたら何となく気付いている人も多いのかもしれませんが...

で、今回はなぜこれほどJ-POPに「青」をテーマにした曲が多く存在しているのか、それについていろんな面から考察していきたいなーと思います。よろしくお願いしますね。

 

 

まずなんですけど、青という色が日本人の心に根ざした存在である、というのは一つ事実なんじゃないかと思いました。それは、青が自然を表す色だということと関係している気がします。有史以来、如何に自然を操作し、制御するかという点に精を出してきた西洋人に対し、自然と共存していく道をとってきたのが日本人です。そんな我々にとって空や海の色である青というのは他の色と比較してもより一層身近なものだろうし、古くは木々の緑色なんかも「青い」と表現してきました。日本語でも、色を表す単語はものすごく細かく分けられている中で、青を示す単語はとりわけ多いような気がしました。水色、空色、藍、瑠璃、群青... 日本人にとって青とは自然そのものなんじゃないかなと、まず思いました。例えばとして、「青空」という単語が題名に入っている曲でもライブラリの中にかなりの数ありました。あとは「群青」。これがタイトルに入っている曲も僕が知りうるだけでもかなりあります。これに関しては僕のフォロワーの方が丸々1記事使って特集してくださっているのでぜひ読んでいただければ。。。

saka-10saka.hatenablog.com

次に、形容詞としての「青い」っていう言葉の持つ二面性です。まず感情を表す「ブルー」といえば憂鬱、悲しみと言った意味になります。でも青のイメージってそれだけか?って思ったんですよ。他にもあるじゃないですか。「青春」「青臭い」「青二才」なんていう単語が示すように、青いという言葉には若々しさ、エネルギッシュなニュアンスも存在しているんです。そう考えると何か青いって言葉、神秘的じゃないですか?

憂鬱と青春、歌にするにはうってつけの題材ですよね。そこに色としての「青」を重ね合わせることによってより詩的、耽美的な表現になる。だからこそ、歌で歌われる色は圧倒的に青が多いんじゃないかな、と感じる次第でした。

 

さて、そんな「青」がどのように歌の中の表現材料として使われているのか、僕のイチオシの曲を何曲か紹介しますね。。。

 

WILD BLUE / PENGUIN RESEARCH (2018年)

作詞・作曲:堀江晶太 編曲:堀江晶太PENGUIN RESEARCH

WILD BLUE

WILD BLUE

  • provided courtesy of iTunes

 この曲は僕が知りうる中でも青春のエネルギッシュなものとしての「青」が強調された一曲だと思います。その中でも秀逸だと思った一節が、

見上げれば「進め」を告げる 限りない青 青 青

進めを告げるものといえばそう、青信号ですよね。って答えたら免許試験×されるから気をつけろよ  この表現は個人的にとてもすごいと思いましたね。青春の青でもあり、進めの青でもある、まさに曲名の通りのWILDな青。音楽的なことに関しては、もう今更堀江晶太氏の作曲力とこのバンドの演奏力の高さについて解説することはないでしょうが、この曲の特筆すべきメロディの魅力はサビの同主転調ですね。過去を振り返る歌詞のAメロ・BメロがFマイナーであるのに対し、未来へ走り出すサビでFメジャーに持っていく。ここの解放感にこの歌の魅力のかなりが詰まっていると思います。そしてこの後に「少年の僕へ」とかいう泣きメロ入れてくるんだからほんとずるい。ずるいよこのバンド。

 

心が、青い。 / 鈴木みのり (2018年)

作詞・作曲:堂島孝平 編曲:河野伸

心が、青い。

心が、青い。

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 この曲はさっきのWILD BLUEとは対照的に、ひたすら憂鬱の青に焦点が当てられた曲ですね。あるがままの自分を受け入れることができず、変わろうとした結果、多くのものを犠牲にしてしまったことを嘆く歌です。はっきり言って歌詞だけ見てしまえば滅茶苦茶陰惨な曲です。「見る前に飛べ!」なんてタイトルのアルバムの最後を飾る曲がこんなんでいいのかと思うレベルには。ただ歌詞にそこまで着目しなければそんな暗い曲だと意識しないというか、歌詞に意識が行った時の衝撃がこの曲はすごい。この曲の調のEメジャーは明るい部類だと個人的には思うのと、あとは華々しいストリングスが鳴っている(演奏は弦一徹先生)という点で、最初聴いたときはまさかそんな暗い曲だとは思わなかったです。それがいいのか悪いのかは個人の感じ方次第だと思いますが... WILD BLUEと比較すると、ここまで大きな振り幅が存在する「青」の凄さをより感じてもらえるんじゃないかなと思います。

 

群青のムジカ / そらる (2019年)

作詞:そらる 作曲・編曲:じん(自然の敵P)

群青のムジカ

群青のムジカ

  • そらる
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 そらるさんに関しても空が名前の由来であるからか青がテーマの曲がいくつか存在していますが、今回はその中でもじん(自然の敵P)さん書きおろしのこちらを紹介しようかと思います。「ムジカ」というのはスペイン語でMusica、音楽という意味で和訳すれば「群青の歌」、そのままです。ここでの青はまず空の色、そして涙の意味も込められています。そしてやっぱり、ここでも前へ進む意思が曲中に表れているんですね。失敗続きの毎日の中でも、いつか希望を持てる日が来るように、この曲で歌われているのはそんな「前に進む意思」です。今回考察をしてみて、進む意思を示す「青」というのはこれまで考えたことがなくて、なるほどなと思わされた部分でした。そして爽快なバンドサウンド、特にバッキングが曲の雰囲気と合っていてとてもいいなと思います。バッキングの音がいいバンドは大体いい説(?) サビの入りがヨルシカの言って。にかなり似ているという話は置いといて...

 

 

Pray for Blue / CYNHN (2019年)

作詞・作曲・編曲:fu_mou

Pray for Blue

Pray for Blue

  • CYNHN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 CYNHN(スウィーニー)は以前にクリエイターの渡辺翔さんがメインソングライターを務めるアイドルユニットとして紹介させてもらったんですが、この曲の作曲はfu_mouさん(主な作品にTell Your World(open the scen remix), H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!! など)が担当されています。ちなみにfu_mouさんはkzさんやagehaspringsの飛内将大氏の同期、洗足音大音響デザイン学科の出身の方です。

CYNHNはロシア語で「青」を意味する言葉であり、アーティスト活動の基軸として青を据えているわけですが、これはそれがとりわけ強く出ている1曲です。

まず、夜の終わりという点から、まずこの曲が歌っているのはブルーアワーのことでしょう。そんなブルーアワーの群青に、自分自身の中の憂鬱と未来に踏み出す意思を重ね合わせている、まさに最初に紹介した「青」の表現の全てがこの1曲に詰まっていると言えると思います。その究極の一節がDメロの

闇に差し込んだ光が見せた色は青

というところ。視覚的には日の出の直前の暗い青の情景をはっきりと思い浮かべることができるし、感情的には先の見えない真っ暗な中に、一筋の光が差す様を連想できる。

編曲面も、Future Bass的なアプローチを織り交ぜつつも、生楽器のアンサンブル感を大事にしたアレンジはとても素晴らしいと思いました。決して派手なサウンドではないけど、確かな重厚感と奥行きが感じられる仕上がりに感じます。そしてそんな曲の魅力を確かにしているのが、このユニットのアイドル離れした高い歌唱力です。メンバーそれぞれが芯のある歌声の持ち主であり、それぞれが互いの旋律を大事にしながら美しいハーモニーを形にしているのは並のアイドルでは為しえない実力の高さゆえだと思います。

 

 

J-POPとか書いときながら紹介するのはひたすらオタクソングという逆張りぶり、、、あ、このブログなんて元からそんなノリか、、、

何だかんだ今回はなかなか面白いネタなんじゃないかと思ってるんですけどこれが伸びなかったらもう知らん!w なのでこれ読んで面白かったらぜひURLをツイートしてくださいどうかどうかよろしくお願いします←プライドの欠片もないなこいつ

最近のブログの悩みなんですけど、導入はかなり軽いノリで入ってるのにいざ本文となるとどうしてもクソ真面目な文体になってしまうことです。結局どっちに振ればいいの?有識者いたら教えてください()

今回の記事、個人的には今までかなり苦手だった歌詞考察がだいぶ出来た点ではすごくやりがいがありました。今回結構言及した「前に進む」という青の意味合いは他の青をモチーフにした曲でも結構な割合で登場していて、確かに青信号の青と考えればそういう表現は何ら不思議ではないんですけど、本当に面白かったです。もしよければ皆さんが知ってる「青」の曲に関してもいろいろ聴き比べをしてみるといろいろ発見があるんじゃないかな~などと思った次第でした。

 

あと重要なことが一つあったんですけど、文字数多すぎですかね?もう少し減らした方が読みやすかったりするのかな...はたまた情報は多ければ多いほどいいのか...悩みは尽きないですね。また考えます。それでは今回はこの辺で。あ、あと最後に僕が作ったApple Musicのプレイリスト貼っときます。よしなに...

 

 

LISTEN TO BLUE...

今月出会った良いアーティストまとめ(May, 2020)

2020年始まってもう5ヶ月経つの狂う――――――――

ついに東京も緊急事態宣言が解除されてしまいましたね。まぁ僕の人生は永久に緊急事態なんですが......

今回の記事に入る前にまた報告というかマウンティングをしようかな... 前回書いたFLEETについての記事なんですが、なんと佐藤純一さんご本人に読まれてしまい、、、

 引用ツイートでお返事を頂いてしまいました。やばない?プロの作曲家ご本人に反応いただくのはこれで2回目なんですがさすがにこれは自慢させてくれ、、、ということで前回のFLEETの記事めちゃくちゃ頑張って書きましたのでまだ読んでないよって方いらしたらぜひ読んでくださいね、そしてぜひFLEETの音源を聴いてください(こっち重要)

 

そんなこんなで一時期だだ下がりだったブログのモチベーションが最近復活気味です。

と、そんな感じで、まあ今回の記事は月末恒例の今月よかった曲まとめですね。フォロワーさんも次々に投稿し出しているので時流に乗り遅れないうちにまとめ上げていきますよっと。じゃあ早速お題に入っていきますね。

 

 

 

*Luna

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*Lunaさんは2012年より活動を開始したボカロPで、バンドサウンドとEDMの両方をこなせるマルチな作風の持ち主です。←こいつ毎回この宣伝文句使ってない...?語彙力ないの?その中でも今回特に紹介したいのが彼が歌い手のゆあるさんを招いて昨年5月に発表したアルバムラズライトの夢」です。このアルバムを聴いて真っ先に感じたものは他でもない「真っ直ぐな青春」でした。曲やアレンジ自体はオルタナティブ、ポストロック由来のバンドの音とFuture Bass的要素を感じるシンセサイザーでとても洗練されたアレンジとインターネット音楽の土壌が培った爽やかなメロディ、それでもそんなもの以上に感じるこの泥臭さは何だろう?という感覚がしました。

このアルバムの軸となっているのは1曲目、アルバム名にもなっている「ラズライト」と9曲目の「アトラクトライト」で、さらにその2曲に共通する歌詞、

「青く光る 一瞬の煌めきを」

この言葉こそがこのアルバムのコンセプトであり、心臓なんじゃないかと思いました。

青春礼賛みたいな明るい印象というよりかは、むしろ人生を深い闇に例え、その中をひたすらもがく人間の姿、そしてその闇が深いからこそ、一瞬の輝きはより美しく見える。そんな懸命さを、この1枚のアルバムを通して表現したかったんじゃないか、そう思います。そしてさらにその情景を引き立てているものは、紛れもないゆあるさんの歌声だと思います。どこか中性的でエッジの効いたハイトーンが、1曲1曲が内に秘めた熱情を解き放つような、そんな雰囲気を感じます。

もう既に大人になってしまった人達からしたらその輝きはあまりに眩しすぎるものなのかもしれないですけど、何でしょうね、僕はまだ心のどこかでそんな輝きを欲しているってことなのかもしれません。


ラズライト (Lazurite) / *Luna feat.ゆある【New Album「COLOR*FULL2」2019.8.10】


アトラクトライト (Attract Light) / *Luna feat.ゆある

 

*Lunaさんの魅力はこうしたロックだけでなく、Kawaii Future Bassの方面でもすごいサウンド構築力を感じることができます。2017年に発表した「Heal Me」という曲なんですが、この時期というとちょうどSnail's HouseさんやYunomiさんといった界隈のクリエイターがSoundCloudなどを中心に頭角を現し始めた時期だと思うんですけど、こうした界隈のエッセンスをうまく吸収しつつ、それを見事にボーカロイドの文化に落とし込んだことによって生まれた名作じゃないかと思いました。Kawaii Future Bassの代名詞とも言うべき下降クリシェなんかも上手く使われていて、それまでのボカロと一線を画すものになっているんじゃないですかね。


Heal Me/ *Luna feat.Macne Nana 【Kawaii Future Bass】【New Album『ラズライトの夢』2019.4.27Release】

 

また、その文脈の延長線としてもう1曲紹介したいのが、ホロライブ所属のVtuber星街すいせいさんに提供した「comet」という曲です。おそらくKawaii Future Bassにカテゴライズすることのできる歌だと思うんですが、Vtuberとクラブミュージックの親和性を狙ったというよりかは、どちらかというとクラブ的要素は控え目なエレクトロサウンドが欲しかったんじゃないかなっていうことで、*Lunaさんの手腕がすごく光っている曲だなと思いました。星街すいせいちゃんは今その高い実力によって急速に知名度を高めているライバーの一人だと思うのでぜひチェックしてほしいところです。


comet / 星街すいせい

 

 

花鋏キョウ

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次に紹介したいのはRe:ACT(リアクト)に所属するVtuber・花鋏キョウさんです。まずこのRe:ACTっていう事務所についてなんですけど、今にじさんじ、ホロライブに続いて勢力をつけつつある所で、事務所として出した最初のコンピも聴いてるんですけど、個々のパフォーマンス能力もかなり高いなって思ったのと、あと提供陣もなかなかの豪華さで、烏屋茶房さんや山本真央樹さん、Neko Hackerなどバラエティ豊富でそれぞれの持ち味出まくりで良かったです。

で、そんなRe:ACTを音楽方面でリードしているのが彼女ともう一人、獅子神レオナさんですね。獅子神レオナさんがアニソン基調のロックナンバーでTimeFiles Inc.(磯谷佳江さん・小野貴光さん・玉木千尋さん)などを迎えているのに対して、彼女の音楽性はダンスタブルなサウンド、言うなればK-POPなどにルーツが見受けられるような音楽をやっています。さっきちらっとVとクラブミュージックの親和性の話をしましたけど、クラブ寄りの音楽をやるVって圧倒的に同人系が多いんですよ。企業系だと商業作曲家を呼んで正統派のポップスをやる勢力の方が多い印象があるので、彼女のように企業系でありながらエレクトロハウスに寄せてくるライバーは貴重な存在なんじゃないかと思います。で、そんな楽曲達をメインでプロデュースしているのがこちらもボカロP出身の作曲家・ポリスピカデリーさん。最初のオリジナル曲が「蒼に躊躇う」という曲なんですが、EDM系でありながらギターの音作りがとても光っていて、彼女の鋭利な歌声を引き立てているなと感じますね。


蒼に躊躇う - 花鋏キョウ【MV】

それと、個人的な憶測に過ぎないんですけど、Vtuberって現代に蘇った女性ソロアイドルのひとつの姿なんじゃないかと思うところがあります。聞いた話なんですけど、日本においては最後の女性ソロアイドルとされているのって松浦亜弥さんらしいんですよ。それ以来ソロで存在感を放つ存在は意外にも表れていないそうで。でもVtuberって、少なくともあの狭い界隈の中ではソロで存在感を放つアイドル的存在がいる。にじさんじ月ノ美兎ちゃんだったり、先述した星街すいせいちゃんだったり、バーチャルの利点を生かした先鋭的な創作活動をどんどんやって異彩を放つ存在になりつつあるアイドル的な配信者が現れていて、この花鋏キョウちゃんもその例に漏れないんじゃないかなっていう期待を持ってます。全然楽曲のレビューしてないって?ごめんね、その、あくまで今回はアーティスト紹介がメインなので......


花鋏キョウ - paradøx【MV】


Behavior - 花鋏キョウ【MV】

 

 

DUSTCELL

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お次に紹介するのはカンザキイオリ、花譜などが在籍する神椿レコードから昨年10月に活動を開始した2人組ユニットDUSTCELLです。ボカロPのMisumiさんとボーカルのEMAさんからなるユニットなんですが、このEMAさんはかつてにじさんじに所属していた久遠千歳というVtuberだったそうで、昨年8月に引退されているそうです。Vのオタクになってからまだ日が浅くてその辺についての知識が薄いもので...

そういう点から行くとボカロとVの音楽、両面的な音楽アプローチができる、これは他のネット音楽アーティストにはない大きな強みとしていけると思います。今のネット音楽シーンを席巻する存在であるずっと真夜中でいいのに。だったりYOASOBIだったりがジャズをポップに落とし込む曲風で人気を博しているのに比べるとこちらはHIPHOPの要素が強いですね。ただその両方に共通するのはリズミカルで歯切れのいいメロディ・展開を持ち味としていることかなと思います。代表曲である「CULT」という曲は韻踏みまくりの歌詞と詰め込み型の譜割というのはまさしくボカロ由来のものであって多くのネット音楽に共通するものなんですが、サウンド作りは洋楽やK-POPシーン、トラックメイキングと言った方が良い感じで、他の今YouTubeを席巻しているアーティストのほとんどがバンドサウンドであるのとは対照的な気がします。


DUSTCELL - CULT

ボーカルもなかなかに特徴的だなと感じる要素のひとつです。透明感のある妖艶な歌声、言うなら小悪魔的っていう形容の仕方が似合いそうです。実力という点でいえば他に現在進行形で音楽活動をやっているVtuberと比較しても群を抜いていると思います。かといってVtuberとしての活動経験であったりVの音楽シーンを肌で感じてきた経験というのも少なからず活かされているでしょうね。そんなボーカルの魅力を最大限感じられた曲が「Heaven and Hell」という曲です。美しく歌いあげられるサビとその後に来るラップパートのコントラストはもはや人格憑依じみたものを感じます。怒涛のレイヴホーンが曲の治安をかき乱しているという要素もあるのかもしれませんが、一気に闇堕ちしていくような様をボーカルで見事に表現しきっている。


DUSTCELL - Heaven and Hell

さて、そんなDUSTCELLなんですが、つい先週の5月20日、1stフルアルバム「SUMMIT」を発売しました。最初に紹介したようなHIPHOP系の曲ばかりではなく、オルタナティブロックに近いサウンドを響かせる新曲「アネモネ」、一人の人間の半生を綴り、死に対峙するバラード「終点」など、芸術性の高い音楽と人生哲学をリスナーに突きつける全12曲。ぜひ聴いてみませんか。

 

 

ここからは余談

 

実は僕、中学生くらいまで文章を書くのが死ぬほど嫌いだったんですよ。嫌いだったし苦手だったんですよね。小学生の頃は日記なんて大体5行しか書いてなかったし、中学の頃なんて1年の半分も日記出してなかったんですよ。そういうレベル。で、そんなから何があったの?って思うんですけど、文章を書くのが好きになったきっかけの一つは意外にもTwitterだったんですよ。140字で自分の考えを吐き出す作業は今の僕がこうやってブログを綴ってる上で間違いなく土台になってます。というか、それまでの自分は身の回りとか人生についていろいろ考えるってことをしてなかった。日記に書けることが客観的事実しかなくて、圧倒的ネタ不足だったなっていうのを実感しちゃったんですよね。ネタないのにいざ文章書けって言われてもそりゃ書けないし書きたくなくなるよなって話ですね。で、今こうやって音楽について自分が思ったことを書いてるんですけど、音楽を聴くっていうのもいろいろ考えながらやるとめちゃくちゃ難しいんだなってことが分かったり。他にも曲紹介ブログやってるフォロワーさんもいっぱいいる中で、皆さんすごくいい文章を書かれるんですよ。自分では割と知識を持っていてしっかり音楽オタクやってたつもりが実はそんなことなかったみたいな、そんなことの繰り返しですね。

今回の文章も自分では頑張ったつもりなんですけど、結局のところそれがどのくらい的を射ているのか、ちゃんと中身が伴ったものになってるのか、自分では全然わかんないんです。どちらかというと自分の主観をアウトプットしている感じなので。多分この先もそういうスタンスでやっていきます。あくまで「紹介」であって「解説」ではないかなと自分では思っているので、納得してもらうというよりかは少しでも興味を惹かれる人が増えてくれればいいかなって思いです。なので温かい目で読んでやってくださいね。笑

 

 

ただでさえ文字数多いのに大量に埋め込みをやった結果死ぬほどスクロールが大変な記事になってしまいました。ここまで読んでくださった皆さんすいません、そしてありがとうございます...... 多分これからもこんな感じですどんどん埋め込みやってスペース稼ぐのでご容赦ください。。。

 

FLEETというバンドに、衝撃を受けたという話

今回も記事を読んでくださっている心優しい皆さん、こんにちは!元気にしてますか?

 

東京はだいぶコロナ減ってきたらしいですね。僕の周りは別に何もという感じで人がうろちょろしていますが...... 正直なことを言うと、今の世の中に妙な生きやすさを感じている人間です。単純にコミュニケーションが減ってるから、というか、コミュニケーションをしないといけないっていう強迫観念が無くなってるのが今なんじゃないかって気がして、昔のようなストレスがないというか。まぁ、ここはそんなことを書くためのブログではないのでこの話はこの辺にしておきますが。

 

さてさて、今回の内容に入っていこうかなっと。

今回書きたいのは、FLEETというバンドの話です。このバンド、アニソン界ではおなじみのfhanaのフロントマンである佐藤純一さんを中心に2006年~2011年にかけて活動していたバンドでして。何でそんなバンドの話を今するのかって?まぁ単純な話なんですけど、偶然サブスクで見つけたからです。それまでも佐藤さんが以前FLEETというバンドをやっていた、ということだけは知ってたんですけど、曲を聴いたことはなかったんです。唯一知ってたのがニコニコ動画に上がっていた初音ミクの「cipher」くらいのもので。そんな中で見つけたのが大体2ヶ月くらい前でした。それで、これがあのFLEETなんだって思ってDLして聴き出したのが始まりでした。

 

.......衝撃だった。

 

それまで僕にとっての佐藤さんのイメージってすごくキャッチーで爽やかな編曲をする人だと思っていたんですが、彼の才能はそれだけじゃない。この当時の彼、つまりFLEETの音楽ってバンドサウンド電子音楽を絶妙なバランスで両立しているのは確かにfhanaと共通なんですけど、fhanaのようなキャッチー、という印象とはまた違うものだなって言う感じがしたんです。なかなか言葉にするのが難しいですが、音の波の中を揺蕩うような、幾何学的でありながらも自然に溶け込んでいるというか。こんなことを言ってもなんのこっちゃと思うとは思いますが、、、ただ一つ間違いなく言えることは、この佐藤純一というミュージシャンは自分が今まで知ってるより遥かにすごい才能を持った人だった、ってことです。

多分僕以外にもfhanaは好きだけどFLEETの歌は聴いたことなかったりとか、fhanaは知ってるけどFLEETのことは知らないとか、そういう人はいるんじゃないかと思うんですけど、そんな人たち向けに今回はこのFLEETというバンドの魅力、凄さを話せたらいいかな、と思ってます。何卒お付き合い願います。

 

 

 

・FLEETってそもそもどんなバンド?

そんなことwiki見りゃわかるだろ!って話ですが、、

佐藤さんとギタリストの池田雄一さん、電子音楽を中心に活動していた仲井朋子さんによって結成されたバンドだそうです。ただ驚いたのはゲストとしてあの今は大物プロデューサーのいしわたり淳治さんやtoethe HIATUSのドラマーとして活動されている柏倉隆史さんがゲストとして迎えられてるってことなんですよね。これだけの人をゲストに呼べるっていうのはやっぱり実力を業界内で認められていたってことなんだと思います。

作品として世に放たれた音源はシングル「Brand new reason」と3枚のアルバム「pre view」「review」「TRANSIT」。このうちサブスクで聴けるのは「pre view」と「review」です。「TRANSIT」収録曲の中でも「-ward」という曲はニコニコ動画で聴くことができます。

 

・バンドとしての魅力について

魅力、と言っても最初に書いたことですが、ロックとエレクトロニカ、両面からアプローチした多彩な音楽性、それでありながらバンドとしての世界観はとても綺麗にまとまっている、といった点にあると思うんですが、その、世界観が綺麗に1つにまとめ上げられている要因はどこにあるのか?あくまで僕自身の憶測に過ぎないですが、佐藤さんの歌声がそうなんじゃないか、という気がしました。fhanaでも1曲だけ佐藤さんがリードボーカルを務めた「Critique & Curation 」という曲 (作曲はyuxuki wagaさん) があるんですけど、彼の歌声ってバンドの中で一際映える最近のJ-ROCKに多いタイプのボーカルではなくて、あまり主張しない、周りの楽器の中に自然と溶け込むような歌声の持ち主なんですよね。最初に音の波の中を揺蕩うような、って言いましたけど、バンドの音だけでなく、ボーカルからもそういう雰囲気を感じ取れるような気がします。ボーカルまで含めてバンドの音として一体になっている。これこそがFLEETの世界観を強固なものにしている大きな要因じゃないかと思うんです。

 

・個人的推し曲をピックアップしてみた

文章で大雑把に魅力をどうこう言ったところで上手く伝えるのはやっぱり難しいので、サブスクで聴ける「pre view」と「review」の中から、個人的に好きだなって思った曲の感想を書いていこうかなと。

 

orrery

(pre view M1, review M10)

orrery

orrery

  • FLEET
  • エレクトロニック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

どうでもいいんですけど、ミニアルバムの最初の曲が、後のフルアルバムで最後の曲になってるやつってめちゃくちゃエモくないですか?個人的にはすごくエモみを感じてしまうのですが...

まずこの曲、基本的な構造としてはミニマルなんですよ。最初に提示したフレーズがバックで鳴り続けながら、そこに新たなフレーズを足していくことで音楽を形作っていっています。これが、世界が開けていくような印象や、これからどんな歌が始まるんだろうという高揚感を聴き手に与えている。「orrery」という単語は「太陽系儀」を意味していて、そのサウンドもまさしく目の前に宇宙が広がり始めるようなイメージが連想されると思います。そしてAメロで佐藤さんのボーカルが音を包み込むように入ってくる。これで僕は完全に心を掴まれてしまいまして...。それからサビですね。ここはまさしく佐藤純一の真骨頂とも言うべき聴かせるメロディ。この美しいロングトーンは、その9年後に生まれたfhanaの「calling」のメロディに通じるものを感じます。これが文脈か。。。fhanaの中でも最初のEPは割とFLEETの延長線上のようなポストロックサウンドが多かったんですが、メジャーデビュー後はそれとは違う独自の路線をどんどん開拓していった中で、callingは割とFLEETに回帰したようなサウンドなのかなと感じるところがありました。そしてそのリファレンスとして大きいのが、まさしくこのorreryじゃないかと思うところです。

そしてアウトロも、イントロと同じフレーズによって収束していくんですけど、つまりは軸から展開して、また軸にまとまっていく、そんなような歌なのかなと思います。だからこそ、アルバムの最初の曲としても最後の曲としても機能しているんだと思ったわけです。素晴らしい曲ですが、callingと併せて聴くとよりその魅力を大きく感じることができるんじゃないかと思います。

 

 

stella

(pre view M2, review M9)

stella

stella

  • FLEET
  • エレクトロニック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

この曲はさっきのorreryとはまた違う純粋なポストロックサウンドが特徴なんですけど、この曲の最大の特徴はその歌詞にあります。この曲は、佐藤さん自身が作詞を手掛けた唯一の楽曲なんです。FLEETはそもそも佐藤さんが作詞を手掛けているバンドではないですし、fhanaの作詞は基本的に林英樹さんという方が手掛けられていて、あとは数曲ボーカルのtowanaさんが作詞した曲があるのみで佐藤さんが歌詞を書いた曲は1曲もないです。また提供楽曲に関しても、自ら作詞した曲はありません。そんな中で唯一佐藤さんが作詞した貴重な曲がこの「stella」。他のFLEETの楽曲やfhanaの楽曲と比較してもロジカルな言葉遣いは少なく、全体として口語的表現でできているのが歌詞の大きな特徴ですね。爽やかっていうのは少し違うような気もしますが、素直な気持ちが表れた歌詞だなって感じです。サビの印象的なフレーズの「音楽はいつだって流れているから」という一節、もうそこらのJ-POPじゃ布雑巾レベルに使い古された表現だと思うんですけど、それが逆に新鮮な印象を与えてくれるんですよね。多分他の作詞家からは絶対に飛び出さない、佐藤さんだからこそ出た自然体の言葉がこれだなって思うんです。多分この先も佐藤さんが作詞する曲は出ないと思うので、本当に貴重だと思います。彼の音楽に抱く純粋な気持ちを感じ取れる1曲、ぜひおすすめさせてください。

 

Brand new reason

(review M1)

Brand new reason

Brand new reason

  • FLEET
  • エレクトロニック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

この曲は今から14年前に放送していた「イノセント・ヴィーナス」というアニメのエンディングテーマで今のfhanaと同じくランティスから出されたきょくだそうです。そうなんだ そういう点では今の佐藤さんのアニソン作りの源流になっている曲、と言えるかもしれませんね。1コーラス89秒が本当に1つの無駄もない構成になっていながらあまり主張の強いアニソンという印象はなく、あくまで普通のポップスとしても聴くことができる。アニソン特有の癖の強さみたいなものはなくて、Aメロとサビしかないので多くの人に親しみやすい気がします。fhanaとして手掛けた初めてのアニソンである有頂天家族ED「ケセラセラ」も同じような印象を感じます。代表的なワンダーステラ青空のラプソディは本当にアニソンらしさを全開にした曲だと思うんですけど、ケセラセラに関して言えばあくまでアニソンとポップスの共通項を探って割と親しみやすいものを作った、という印象が強くて。そうした作風になった要因の一つとして、この曲を作った経験があったからなんじゃないかという気がしました。FLEETの音楽性とアニメの音楽としての二面性を上手く両立させたこの曲には、佐藤さんが今これだけアニソン界で注目を集める存在になった要因の一端を垣間見ることができるんじゃないかと思います。

 

star lust

(review M3)


【FLEET】starlust【Music Video】

最初の紹介でtoe柏倉隆史さんをゲストに迎えているという話をしましたが、それがこの曲です。落ち着きのある電子音を使いながらも、疾走感のあるポストロックに仕上がっているんですが、その上で大きな役割を果たしているものこそが柏倉さんのドラムだと思います。生ドラムが入ってくるのは2番からなので、1番と2番で全然違う表情を見せてくれるのもこの曲の大きな魅力のひとつです。1番は穏やかな夜空のような雰囲気、2番は燃えるような星の輝きをイメージさせるような、それくらいの違いがあります。ドラム1つで曲の表情がここまで変わるというのは本当にすごい。そして激しくギターをかき鳴らし、それに呼応するようにドラムが打ち鳴らされる間奏も、他のFLEETの曲にはない独創的なものです。

柏倉隆史さんはtoethe HIATUSのドラマーであり、ロックスターという印象が強いですが、ClariS - ナイショの話ASCA - KOETK from 凛として時雨 - Fu re te Fu re ru(unravelのc/w)など意外とアニソン系の音楽にも参加していたりします。ナイショの話に至ってはJUDY AND MARYのTAKUYA氏が編曲とギターで参加したりしていて、もう完全なスカパンクですね。めちゃくちゃ脱線しましたすいません。

 

 

・おわりに

いくつか曲を紹介してみましたが、まぁ当然ですがこんなものはほんの入り口にすぎません。これを読んでもらって、このFLEETというバンドに少しでも興味を持ってくれて聴いてみようと思ってくれるきっかけにしてくれることを切に願っています。今回紹介したCDってもう2枚とも今は市場に流通してないんですけど、そういった音楽でも聴けるっていうのは本当にサブスクの大きな利点です。っていうのと、僕がついこの間FLEETと出会って、それで佐藤純一という人の能力はアニソンだけでは評価しきれない、それ以上にもっとすごい、そう感じさせられました。絶対何かしらの形で、これをたくさんの人に紹介したいと思ってたんですが、何だかんだで聴くようになってから今日まで2ヶ月も空いてしまいましたね。

ちなみにFLEETと同時にyuxuki wagaさんのインディーズ時代の音源もサブスクで見つけて、それもすごく良かったです。彼は佐藤さんとはまた違ってシューゲイザーに特化した作風を持っていて、そうして様々な音楽性が混じり合うことで新たにfhanaの音楽性を作っていることがある意味すごく勉強になったと言いますか。これもまだfhana加入前のtowanaさんをフィーチャリングした曲なんかもあったりする貴重な音源なのでぜひチェックしてもらえたらなって思います。

Light Falls (feat. 初音ミク)

Light Falls (feat. 初音ミク)

  • provided courtesy of iTunes
日々の波間に (Feat. Towana)

日々の波間に (Feat. Towana)

  • yuxuki waga
  • ポップ
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 さて、今回も完全に自己満足な記事が出来ちゃいました。まぁ個人的には自己満足なくらいの方が親しみやすい文章になるかなって気がするのでまだしばらくこんなノリで書いていくと思います。今後とも付き合ってくれたらとっても嬉しいです。ではでは今回のところはこんなもので。最後まで読んでくれてさんきゅーです。。

 

「オンラインDJイベント」、一度見てみませんか?

大変長いこと更新期間が空いてしまいました。

いや、その、ネタが転がってなかっただけで別にサボってたわけでは......ありますすいません。

 

緊急事態宣言からはや1ヶ月。もはや何が緊急事態だったのかもよくわからなくなってきましたが...今何よりしんどいのはやっぱカラオケに行けないことですね。絶対高い声出なくなってそう...

そんな中今新たな楽しみとして僕だけじゃなくて音楽ファン全体の間で新たな楽しみ方になっているものというのが今回のテーマ、オンラインDJです。現状ライブハウス・クラブハウスを取り巻く状況はとても厳しいものです。とりわけ打撃だったのが渋谷LOUNGE NEOの閉店、それだけでなく全国各地の箱が多く閉店に追い込まれている状況があります。

そうした中で、ただ指を咥えて見てるだけではいられないということで、最初に大きな注目を集めたのが、全国各地のクラブハウスを中継し生配信し、寄付金を募る初のイベント「Music Unity 2020」でした。これがTwitter上で大きな反響を呼び、第1回配信は最大同時視聴12000人を記録、集まった寄付金の総額は319万円にもなりました。またその2週間後に開催された第2回でも同時視聴10000人を突破し、一躍ネット音楽シーンのムーブメントになりました。他にも1サークル単位の小規模なものから大きなものまで、様々なDJイベントがインターネット上で開催されています。

今のこうした「コロナ禍」の中で急速に注目を集めるオンラインDJ。何がこれだけ多くの人々を突き動かすのか?今回はまだこうした配信を見たことがないという方向けに、このイベントの魅力、そしてそれが今後の音楽業界にどう影響を与えていくかをプレゼンできたらと思います。最後までお付き合いください。

 

 

まず1つ目の大きな魅力は、

様々なジャンルの音楽を1度に聴ける

というのがやっぱり大きいんじゃないかなと思います。普通ライブやイベントってお金を払って会場に足を運んで楽しむものですが、これはオンラインで、しかも無料。となると通常のイベントよりも嗜好がバラバラの人達が大勢集まってくるわけです。そしてプレーヤー側にも様々なバックグラウンドを持つ人たちがいて、また個人個人も様々なバックグラウンドを持っている。となると、メジャーなものからマイナーなもの、新しいものから懐かしいものまで、1度のイベントで色々な種類の音楽を楽しめる。これって実はすごいことなんじゃないかと思うんですね。当然だけどロックフェスでEDMが流れたり、EDMフェスでロックが流れたりなんてほぼないじゃないですか。でもこのイベントはそうした縛りが一切ないんですよ。何をかけてもOK。こう言うとすごく画期的なことに思えてきませんか?実際にこうしたイベントでは国内外のクラブミュージックからボカロやアニソン、Vtuber、邦ロックから80~90年代のシティポップに至るまでありとあらゆる音楽が流れています。ここでまずほぼ全ての音楽好きにとって盛り上がれるポイントが用意されている。そしてその上で、新たなジャンルの音楽を開拓することもできる。この時点で音楽が少しでも好きなら見て絶対損はないと思うんですね。新たな音楽への入り口として、「気軽に楽しめる」音楽イベントの存在ってものすごく大きいなって思います。

 

そして次の魅力が、

クラブがより親しみやすい存在になる

ということ。つまり長い目で見た時、こうしたオンラインのフリーのイベントを行うことは、よりクラブという文化を国内で盛り上がらせることに繋げることができるんじゃないかと思うんです。実際今の日本って、クラブ=深夜に酒飲んだパリピが暴れてる場所、怖い、みたいなイメージがまとわりついてるのは否めない気がするんですよね。実際そういう場所もあるのかもしれないですけど、でも全部が全部そうではないんですよ。特にサブカル系の音楽が中心のクラブなら全然そんなことはなくって。自分が好きな音楽を良い音響で聴いて、それで同じものを好きなオタクと語り合うひたすらアットホームな空間がクラブなんですよ。そのクラブの雰囲気が、オンライン上でも自然と形成されてる感じがします。要するに今までクラブをどこか敬遠していた人達にとっても、クラブの取り巻きは全然変な人達ではない(ある意味では変ですが...)をわかってもらえるいい機会になれば、今後新たに足を運んでくれる人も増えるんじゃないかと思います。クラブ、楽しい場所だよ!ぜひおいで!!!

 

そして3つ目、これが一番大事なことだと思うんですが、

もっと気軽に、たくさんの人と音楽で一体になれる

ことです。ライブ行ったことある人ならわかると思うんですけど、ライブ終わった後の多幸感って他の何にも代えられないものがあるじゃないですか。でもそれを共有できるのってせいぜい一緒に行った友達とかだけですよね。もちろんファンの界隈を作ってそこに入ってるとかなら話は別ですが...... でもこのイベントの魅力はそれより遥かに多い人たちと音楽を聴いて一体になれることです。同じ配信を見ているフォロワー全員とそれを分かち合えるってことなので。ただ一人部屋で聴いてる音楽とはやっぱり違います。ライブハウスのような音響はないとしても。生ライブのような魅力はないとしても、生ライブの下位互換では決してないと思います。全国どことでも繋がれるっていうのも大きな利点だし。たとえコロナが落ち着いたとしても、こういうイベントの形は残していってほしいと思います。ゆくゆくはさっき言ったようにそれまで足を運んでいなかった人を呼び込む大きなきっかけにもなりますし。

 

 

 

さて、オンラインDJの魅力、うまく伝わったでしょうか...... 言葉で全部伝えきるのはどうやったって無理なことだと思うので、やっぱり実際見てくれ、というほかありません。というわけで、先日アメリカのトラックメイカー・Porter Robinsonが主催したDJイベント「Secret Sky Festival」の際のkz(livetune)さんのプレーを紹介しておきます。Porter氏は日本のアニメの大ファンであり、たびたび来日してDJをしたり、A-1 Picturesの短編映像作品に主題歌「Shelter」を書きおろすなどしており、そうしたことから今回個人的親交の深いkzさんがこのイベントに参加することとなっていました。30分間のプレーですが彼の代表作「Tell Your World」とPorterの代表作「Sad Machine」のマッシュアップから始まり、アニソンやボカロ、Vtuberを幅広く網羅した最高のプレーを披露してくださいました。見るにはちょっと長いかもしれませんがもしよければ見てくれ...ついでにPorterの「Shelter」の映像も貼っておきます。

 

(以上、ここまでオタク特有の早口)

さて、そんなオンラインDJイベントなんですが、5/16、今週の土曜日の15時から、

Music Unity 2020 Vol.3が開催されます!

さらに翌17日の11時からはSYNERGY Stay Home Editionというこれまた日本のサブカル系クラブミュージックが中心のイベントがアメリカで開催されます。どちらも熱いイベントになること間違いなしなので週末暇を持て余しているよという方がいたらぜひ一緒に見ましょう!絶対楽しいので!

そんな感じで、今回の記事はここまでにしようかな。これからはこんなに空かないようにちゃんと定期的に更新していこうと思いますので......よろしくお願いします......