リーティアの隙あらば音楽語り

サブカル系音楽を中心に自分が気に入ったものを布教するだけのブログです

最強コンテンツ「電音部」への期待

【報告】

おかげさまで6月も弊ブログのPVが1000を達成できました。ひとえに読んでくださる皆さんのおかげです。ありがとうございます。

 

さて、世の中でC-virusが暗躍してる中で、新たなカルチャーとして流行を見せ始めたDJ配信なんですけど、その総決算ともいえるバンダイナムコ主催の一大イベント「ASOBINOTE ONLINE FES」が先日あったんですね。最大同時接続は16000人。全ての発端となったMU2020以上の盛り上がりを見せたイベントでしたが、それを全て吹き飛ばすような衝撃の発表。今日はそれについての個人的な思いをTwitterじゃ書ききれないのでまとめていこうかなーと思います。

 

f:id:Letia_MusicLover:20200629235126j:plain

 

これがその新たなコンテンツの名前です。世界観としては、電子音楽がカルチャーの中心となった未来で、新たなエンターテインメント「DJバトル」に青春を捧げる女子高生達の物語。まぁ割とありがちな?ストーリーのEDM版と考えてもらっていいのかなって感じです。

本題はここからですよ。メインシナリオを構成するグループが現在4つあるんですけど、それぞれの声のキャスティングを声優・アイドル・VTuberで分業している、ということです。ついに時代がここまで来たかっていう印象です。特にVTuber。まず、エンターテインメント業界最大手のバンダイナムコとバーチャルタレント業界のトップランナーであるにじさんじが実質的に手を組んだということ。これがこのコンテンツに対する最初の衝撃でした。演技力云々で職業声優に比べて劣っているという点は多少あると思いますが、それでも一大企業が昨今のVTuberの隆盛を無視できないものと捉えてそのファン層を既存のコンテンツの中に取り込もうと動いたことは個人的にはかなり評価したいし、大きくサブカルチャーの歴史が変わってくると思います。VTuberっていう業界はこれまでいい意味でも悪い意味でも閉鎖的な空間だったので、それがある程度外界とつながることによってどのような反応が起きるのか、大いに注目していきたいものじゃないですか?

 

次。やっぱり音楽のオタクとしてはここが最大の衝撃でしたね。

圧倒的コンポーザー陣。もはや豪華という言葉で収めるのがおこがましいレベル。

f:id:Letia_MusicLover:20200630001718j:plain

「電音部」公式Twitterより

.....わけわかんなくないですか?

クラブミュージック的視点でアニソン界を牽引し続けるレジェンド、kz・TAKU INOUE。Kawaii Future Bassというフィールドからインターネットで輝きを放つ新時代のトラックメイカー、Snail's House・Yunomi・YUC'e・KOTONOHOUSEといった面々。さらには作曲系VTuberとして活躍する周防パトラ・ミディ。これだけの最強の布陣が集まったら負ける要素どこにもない気がするんですが...

最近はいわゆる作曲家オタクの需要の高まりもあって、業界で多く信頼を得ている、いわゆる強いクリエイターを多く呼んでそのネーミングで売り込む、といった戦略も常套手段と化してきているわけなんですけど、その中でもこれはやばすぎました。何がやばいかっていえば、クラブミュージックというコンセプトに対してこの人選ができるってことなんですよ。kzさんやイノタクさんはともかくとして、この中の大半はアニソンの作曲経験がない人達で、いわゆる二次元の界隈とはほぼ切り離されていると言っていいフィールドで純度の高いクラブミュージックを作ってる人達なんですね。クラブによく行く人たちからしたらすっかりお馴染みの面子で、この人たちが一堂に集結する「暴力的にカワイイ」なんてイベントがあったりしますが。要するにバンダイナムコさん、このコンテンツに関して既存のアニソンの路線で勝負する気は全くないんですよね多分。クラブミュージックがコンセプトである以上それに見合う本格的なサウンドを持ってくるってことです。同じようなコンセプトであるブシロードのD4DJがクラブサウンドを出しつつもあくまで楽曲の基軸をアニソンに置いていたことを考えれば随分攻めたなって感じですね。ここもそれまでのオタク受けは意識せず、世界観で新たなファン層を獲得していく意気込みが見て取れると思います。実際にホームページに飛ぶとMoe Shopが手掛けたティザーBGMを聴くことができるんですが、 

 めちゃくちゃ「それ!!!!!!」って思っちゃいました。ボーカル曲をチラ見せしちゃえば注目度上げられそうなところをあえてそうしない。声や歌唱で注目させるんじゃなくてあくまでコンテンツの中心は音楽だっていう態度が示されててすごく好感が持てる感じがしました。しかもこのBGM、このジャンルをよく聴く人からすれば一瞬でMoe Shopだとわかるような持ち味全開のサウンドでして。コンポーザー側からしても二次元コンテンツの曲だからそっちに寄せるなんてことはなく、あくまで持ち味全開で勝負しに来てくれると思います。イベントの中でYUC'e、Nor、TAKU INOUE、kzの楽曲がそれぞれ披露されたんですけど、かなりクラブサウンドに振り切っている感じでアニソンらしさなるものはほぼなかったです。日本ではクラブミュージックって結構アンダーグラウンドな分野で人を選ぶ傾向が強かった中で、この電音部を通して声優・アイドルソングと結びつく中で今後どういった展開を見せてくるか。すごく楽しみなところだと思います。

あとは個人的な願望として、インターネットのトラックメイカーがアニソンに進出する突破口が何らかの形で開けてほしいなっていうのをずっと思っていたので、今回こういう形でそれが実現したのがすごく嬉しいですね。これを通して注目度がさらに上がってアニソンとかでクレジットを見かける存在になっていってくれたらと思うと期待が止まないです。←後方彼氏面?

 

3つ目の画期的な要素が二次創作の容認ですね。要するに営利目的でない限りRemix作り放題ってことです。公式、しかもバンダイナムコともあろう大企業が公式に認める立場を示す、その前例を作ったってとんでもないことでは?しかもそれだけに限らず、二次創作を公式側が逆に利用する可能性すらもガイドラインで示唆されてるんですね。ほんとにやばいことですよ。これを機に音楽を取り巻く著作権の在り方が変わるかもしれないです。

背景とすれば、今回招集されているコンポーザーの大半が同人活動から知名度を高めた人なことが大きいと思います。今やインターネット音楽の王のような存在のkzさんも元はニコニコからキャリアが始まってるし、他のトラックメイカーだとSoundCloudが出発点になってる人が圧倒的に多いですね。何というか、10年前にボカロPが一気にアニソンに進出してきた時の状況と似てる感じがします。kzさんは2010年に俺妹のアニメのOPに抜擢されてから一気にアニソン請負人としての地位を確かなものにしたんですけど、あのアニメはEDも一般公募だったんですよ。冷静に考えたらすごいですよね。注目アニメのエンディングが1話ごとに公募って。そしてそこから一気に注目されたのが今や神曲マシーンと化したやしきんさんなんですよ。そんなことがあるから公式が同人活動にアンテナを張るのってかなり大事だし、公式がそういった芽を摘んでしまうのは結果的に利にならなかったりするわけで、バンダイナムコはその辺をすごい分かってくれてる気がしましたね。今後の同人活動の展開次第ではもしかしたらSoundCloudが一般のオタクにもメジャーなアプリになってくる可能性すらあるので期待です。

 

 

いやー、発表から丸1日くらい興奮してやばいことになってたので言いたいことめちゃくちゃあったのにそれを文章にするのは到底無理だったんですけど、やっと落ち着いて考えを整理できる程度まではなりました。

ありとあらゆる点が新たな試みで、サブカルチャーの在り方を大きく変える可能性を持つコンテンツ。「電音部」を表すとしたらこういう表現になると思います。ただ新しいことをやるとなれば当たり前ですが問題はつきものです。そしてまず挙げられる最大の問題は異なるジャンルのオタクが1つのジャンルに集結した時何が起きるか、ということでしょう。僕はおそらくインターネット音楽・トラックメイカーのオタクとしてこれと付き合っていくことになると思いますが、おそらく声優オタクとVTuberのオタクの間でまず対立が出るでしょうし、既存のアニソンのオタクと電子音楽のオタクとの間でも、ゆくゆくは価値観の食い違いが起きてくるとは思います。ただやっぱり新しい試みをする上では対立や批判はつきものだと思うし、そういうもんだって割り切っちゃうのが一番ですかね。ボカロPや歌い手がアニソンに進出してくる段階でもそういうものはあったでしょうし。だからこれだけ言っておきます。

名前「だけ」で判断するな

もちろん有名な人はそれなりの実力が伴ってることは間違いないと思います。でも有名だからすごい、知らないからすごくないとか、歌い手だから、VTuberだから大したことないみたいな、そういう決めつけで物を言うのは失礼以前に自分が損してるよって話です。これって僕ら作曲家オタクの悪い癖でもあって、どうしてもネーミングに縛られて有名なコンポーザーの曲ばっか聴いてるってやっちゃいがちなんですよ。そういう自分たちに対する戒めも込めて。対立が起きるのは仕方ないです。けど見る前、聴く前から文句を言うのはやめようねってことです。文句あるならスルーしとけって思ってます。はい。

 

いろいろ書きましたが、今のところ僕はこの電音部に対してプラスの感情しか抱いてないし、この間プレイされた曲を聴く限りでもその期待が裏切られる心配はあんまりしてないです、曲さえよければ90点はあげられるのでw。そういうわけで。追いますので。強い曲楽しみにしてます運営さん。よろしくお願いしますね!!

 

THANK YOU FOR READING.