4月前半の新譜紹介 ~気鋭のアーティストが生み出す次世代型サウンド~

まず最初にまたまたお知らせです。前回みたいなボケじゃなくて、今回は真面目にね。

 

またまた公式に弊ブログの記事が載りました。

 

blog.hatenablog.com

先月の頭に大きな反響を頂いた鹿乃さんの「yuanfen」についてのレビュー記事なんですが、1ヶ月経って取り上げてもらえるとは...というかブログ歴4ヶ月で2回も公式に取り上げてもらっている時点でビビりまくりなんですが...何はともあれ嬉しいことです。

 

さてと。お元気お過ごしでしょうか。全く関係ない話なんですけど、僕にはかつて宅浪だった時期がありまして。リアルに家族以外誰にも会わない、家からも出ない1年間を過ごしてたんですよねその頃。何で乗り切れたのかもすごく不思議でならないんですが... その頃すごく心の支えになっていた音楽というとBUMP OF CHICKENでした。彼らの弱い者にも光を当て、その在り方を肯定する音楽に、当時の僕は救われた、というのかな。彼らの音楽があってこそ、1人じゃなかったなっていう気がするんです。ここの読者の方の中にも今在宅で気が滅入っている方もいるかもしれませんが、音楽は孤独を癒してくれる存在なんだよ、ということをお伝えしておきましょう。

 

と、何が言いたいのかわからない前文を置いてしまいましたが、今回はBUMPの話をするための記事ではありません。何を今更。 今回は4月出たアルバムの中から3枚ほどピックアップして紹介しようかなーと思っておりまして。それぞれ違う方向性から新しい形のサウンドに挑戦した前衛的な仕上がりのものです。お付き合い願います。

 

jelly girl / をとは 2020/4/11 DL & ストリーミング配信開始

 

最初に紹介するのはインターネットを中心に活動するシンガー・クリエイターのをとはさんが先月のM3で発表したアルバムです。Neko HackerTEMPLIMEエハラミオリなどといった同じくインターネットで活躍するサウンドクリエイターからの書きおろし楽曲の他、自らが作詞・作曲・編曲の全てを手掛けた楽曲も収録されているバラエティ豊かな内容のアルバムです。「デジタルな仲間たちに送る」というコンセプトで、バーチャルだからこその繋がりを歌にしたような作品です。僕の一推しは2曲目、Neko Hackerが作曲を手掛けた「Digital Life Hacker」。Twitterのコミュニティがリアルの人間関係のように繋がっていくことを歌った歌詞がネット育ちの人間としてはとても共感が持てます。Neko Hackerのサウンドといえばデジタルとバンド、両方の影響を受けた独自の形態、Kawaii Future Rockなんて言われていますが、これもネコハカ節全開ですね。もしこれが気に入ってもらえたらぜひNeko Hackerの活動の方もチェックしてくれたりしたら嬉しいですね。そして自身が制作したのは7曲目「Cobalt Dreams」。予想以上に編曲のレベルが高くてびっくりしました。この界隈、ぷにぷに電機さんや4s4ki(あさき)さんといった自らトラックメイキングまでこなすボーカリストさんは多くいるんですが、ゆくゆくはをとはさんもそうなっていくのかなという期待が持てる1曲です。ビートとシンセの絡み合いが気持ち良すぎるし間奏でダブステみたいなの入ってきたり、とにかく聴いてて楽しいです。

 

 

Dear Thinking Nodes / memex 2020/4/12 DL & ストリーミング配信開始

 memexは前々回のVtuberコンピ「ADVENTUNE」を紹介した際にその中で言及しましたが改めて。コンポーザーのぴぼさんとボーカルのアランさんによるバーチャル・オルタナティブ・ユニット(こんな表現ある?)です。ジャンル的にはオルタナティブ、というかポストロックというのが一番的確ですかね。バンドサウンドをベースにデジタルを織り交ぜ、変拍子を駆使した実験的なサウンドとアランさんの伸びのあるハイトーンボイスがこのユニットの唯一無二の世界観を作っています。また映像に関しても非常にこだわりを持って作られており、初オリジナル作品「Cloud Identifier」のMVは2019年のVRクリエイティブアワードでデジタルハリウッド賞を受賞しています。模試で有名なあのデジハリです。

でなんですけど、アルバム名にもなっている「Thinking Nodes」って一体何の事?って思ったわけです。それについてぴぼさん自らが解説されていたのですが、「物理的実体を持たない意志」、すなわちバーチャルの存在達のことのようです。では何をもってその意志はそれとして識別されるのか?肉体的死が訪れない彼らはいかにして「死」が定義されるのか?それこそが出発点「Cloud Identifier」であり、彼らの活動を通して表現したいこと、であるようです。何を感じるかは聴く人によって様々だと思うので、ここでは確かな音楽のクオリティの保証だけしておきます。あとはその耳で、確かめてみてください。

 

 

wyxt. / Who-ya Extended 2020/4/15 発売

今回最後に紹介するのは、昨秋に「PSYCHO-PASS 3」オープニングテーマ「Q-vism」で鮮烈なデビューを果たし、劇場版でもオープニングテーマを担当したアーティスト・Who-ya Extendedによる1stフルアルバムです。属性的にはアニソンシンガーなので前2組とは少し方向性が違うんじゃないか...と思われがちですが、個人的には一定の共通性はあるのではないかと思うんです。このWho-ya Extendedは一切メディアへの露出がない他、クリエイターチームという情報こそあれど何人いるかわからない。リスナーからしたら彼らはほぼバーチャルの存在に等しいと言っても過言ではない。そしてバーチャルのアーティストが独自の表現を築いてきたことは昨今のアニソン・ネット音楽シーンが物語っていることです。こうした形態であるからこそ、彼らは自らのサイバーパンクな音楽性に説得力を持たせることができているのではないか。そう考えられるのです。彼らの才能は作編曲だけでなく、作詞にも表れています。それは韻踏み。劇場版PSYCHO-PASS主題歌「Synthetic Sympathy」では「匿名」「革命」「極性」、「雨模様」「雑踏」と、文頭文末両方で韻を踏むことで強烈な印象を残すなど、只者ではないセンスを感じ取れます。アルバムの新曲「ErroЯ CØDE」では「猜疑心 guessingの賜物」「暴いて biting」といった言葉が出てきます。よくこんなのを思いつくもんだ。そしてこのアルバム内で色んな意味で衝撃的だったのは9曲目「memorized.」。それまでの音楽性とは違う、ピアノとアコギのみで構成された、いい意味でJ-POP的だと感じるバラードでした。ちなみにこのイントロのピアノから僕が連想したものは駅メロでした。駅メロって別れとか、新生活とか、そういう感情をいろいろ思い起こす存在だと思うんですけど、そんなようなシンプルなメロディと、とても素直で、美しい言葉。王道でありながら新鮮でした。この先の彼らはどんな音楽で魅せてくれるのか。とても楽しみです。

 

 

 

今回紹介するのはこんなところです。

冒頭でも言った通り、この3組の持つ音楽性はそれぞれ全く違いますが、音楽、歌モノの新しい可能性に挑もうとしているという点では同じじゃないかと思うんです。そしてこうした存在がゆくゆくは音楽業界を引っ搔き回してほしいなっていう思いが一介のリスナーとして強くあります。かつてのボーカロイドのように。

 

もう話すこともないんですけど、音楽は孤独を癒してくれるよ、っていう前書きの続きをしましょうか。興味なければここで閉じていただいてもいいですよ...。

 

孤独を癒すっていうのは文字通り孤独を埋めるってだけじゃなくて、人との繋がりを作るっていうのもあります。実際僕がネットにのめり込んだのは同じ音楽が好きな仲間を探すためだったし、高校時代や浪人時代に辛い時、周りに誰もいない時に助けてもらったのはそこで知り合った仲間でした。今回紹介した「Digital Life Hacker」の歌詞には「名前も顔さえ知らない君に救われたの」という一文があります。僕はまさにそれを経験した人間です。話をずらしますが、僕はバーチャルの繋がりでも、リアルの繋がりと同じように、時にそれ以上の絆は生まれるとそう思っています。そしてそれを生み出せるのは、アニメやドラマ、音楽、絵といった文化でしょう。こういう世の中だからこそ、改めて文化が僕らの生命線だということを感じています。その中で僕が色々言えるのってせいぜい音楽しかないので、そんな孤独を癒してくれる音楽の魅力を、これからも伝えていきたいなって思います。

 

 

気取りはもう十分って?そうだね。また次回ね。3割くらいはどうでもいい今回の記事でしたが、全部ちゃんと読んでくれた人は聖人か何かだと思うことにします。ありがとうございますありがとうございます次回もよろしくお願いします     END