リーティアの隙あらば音楽語り

サブカル系音楽を中心に自分が気に入ったものを布教するだけのブログです

電音部考察記事2 ~アザブエリアの感想、見えてきたコンテンツの狙い~

こんにティア!!!

ついにアザブエリア来ましたね!!!!!ということで、恒例の(まだ1回しかやってないだろ)電音部考察部のお時間です。

 

いやー、この間に色々なことがありましたよ。今まで未公開だった世界設定が次々明らかになったり、Hyper Bassを2回も箱で聴けたり。←これ重要 いや、Hyper Bass箱で聴いたらマジで吹っ飛びますよ。色々おかしいよあの曲。と、いうことで、今回書いていきたいことは、

 

・アザブエリアの感想・考察

・「電音部」というコンテンツが目指すものの考察

 

こんなところですね。なんか完全にバンナムの回し者みたいになってますけどけっしてそんなことはないですので。。。はい。。。今回も限界オタクの長文を錬成するのでお付き合い願います、、あ、前回の記事も置いておくのでまだ読んでない方はぜひ読んでみてくださいね。

letia-musiclover.hatenablog.com

 

 

アザブエリア

f:id:Letia_MusicLover:20200930032542j:plain

f:id:Letia_MusicLover:20200930032602j:plain

音楽的特色について

アザブエリアの設定は、エリア全体を大企業「白金財閥」によって買収され、民間による自治の下で古くからある文化と新たな文化を融合させた街づくりを行っているエリア、というものです。というかそもそも政府自体が民間の機関である可能性が出てきたわけなんですが、その話はまた今後していきます。前回の記事ではアザブエリアはレトロフューチャー色が強い音楽スタイルで来るのではないかと書いたのですが、その予想が的中したというか、プロデューサー側からもアザブはシティポップ、80sスタイルで攻めるということが公言されました。となればコンポーザーもやはりその辺に強いアーティストになりましたね。水曜日のカンパネラでも活動しコンポーザー陣の中でも有数のキャリアを持つケンモチヒデフミ、言わずと知れた最強のアンセマーtofubeats、レトロ感と緻密なトラックで注目を集めるパソコン音楽クラブ。そしてユニット曲にはエレクトロニックなサウンドでアイドルシーンにアプローチしているShogo&早川博隆 a.k.a. SigN。解釈一致というか、残っているコンポーザー陣を見れば満場一致と言ってもいいんじゃないですかね。

あと大きな特徴として、キャラクターではっきり音楽性を分けている点があります。お嬢様キャラ2人が割とシティポップに寄せたのに対して、成り上がりのセンターキャラ・黒鉄たまの楽曲はバキバキのEDMに仕上げている他、それぞれのボーカルディレクションも非常にこだわり抜かれていると感じました。このエリアのキャストが他3エリアのように事務所の枠組みではなく、とにかく実力派を選抜しているのも、ボーカル重視の楽曲を作るうえでは重要だったんじゃないかと思います。

ちなみに、ここで言う「アザブ」は現在の六本木や高輪といったかなり広範囲を総称して呼ばれています。ちなみにキービジュアルは三田一丁目付近の桜田通りですね。

 

いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ) - 黒鉄たま(CV: 秋奈)

作詞・作曲・編曲:Kenmochi Hidefumi 再生時間:3分39秒

まず最初に、黒鉄たまというキャラクターに対するこの楽曲の驚異的な解釈レベルの高さを特筆すべきでしょう。彼女は金持ちが集うアザブエリアの中において庶民の生まれで、高いDJの実力を買われて白金家にメイドとして雇われたという経緯を持つキャラクターです。そして名家の令嬢2人を抑えてただ実力一点でセンターに立っているマジでかっこいいキャラです。実力と金が全てという信念を持ってる女です。そんな既存の価値観の枠に収まらない彼女を「横一列並んでせーので共感強調マジ興味ねぇ」「同調圧力品行方正めんどくせぇ音楽と金で解決すれば?」というなかなかに直球な歌詞で表現しています。こうやって変に婉曲したりせずにド直球な言葉で畳みかけるのも彼女の性格に合っているように思いますね。解釈レベルの高さは歌詞だけでなくトラックにも表れています。この曲の持つジャンルの一つとしてJersey Clubというのがあり、BPM140前後でタン、タン、タンタンタッというビートと声のサンプリングが特徴的なサウンドなのですが、90年代を中心に流行したレトロな音楽であるという歴史的背景、さらにEDMとしてはお洒落でありながらアッパーさを併せ持つ音楽的性質はまさに裕福なエリアに成り上がりという身分で立つキャラを表現する上でこれ以上ないチョイスでしょう。またJersey ClubだけでなくTrapサウンドやラップを前面に押し出した現代のトレンドに近いものを積極的に取り入れている点も後述する2曲との大きな違いです。

あとはボーカルディレクションにも要注目です。ラップ部分で語尾を上げることによってぶりっ子なイメージを持たせていますが、重要なのが下げるポイントを用意することであまりしつこくしていない点かと思います。1番の「金稼ぐ」と2番の「成り上がる」がこれに当たりますね。ただぶりっ子かと思いきや次の「アタシ」は吐き捨てるような言い方をしていて、短いフレーズの中でギャップを見せるテクニックは必聴です。秋奈さんの持つ歌唱力・表現力の高さとケンモチヒデフミさんの的確なトラックメイキングの合わせ技、最高級の仕上がりと言って間違いないと思います。

 

MUSIC IS MAGIC - 白金煌 (CV: 小宮有紗)

作詞・作曲・編曲:tofubeats 再生時間:4分57秒

今夜は!!!!仕組まれていた!!!!!!!

tofubeats。もう今更説明することは何もないでしょう。もう10年クラブシーンからJ-POP界を牽引してきた神ですよ。そんな彼がオタクソングを書いているという事実が信じられないです。はい。

煌様は普段は上品に振舞ってるけど実は照れ屋という一面を持つキャラなんですね。そんなこともあってかかっこいいビジュアルに反して可愛らしい陽気なポップチューンが持ってこられました。まさにtofubeatsお得意のディスコファンクといった感じ、アンセム感全開です。電音部、ゴリゴリのエレクトロばっかりなのかと思ってたら意外とそうでもないんですね。アキバエリアで生楽器を使うのはイレギュラーかと思っていたんですが、この曲もすごくイカしたブラスセクションが入っていて(なお打ち込み)、別にクラブミュージックってゴリゴリの電子音楽だけじゃないよっていう方向性が見える気がします。ところで、この曲とFavorite Daysのみタイトルにコンポーザーの表記がないのですが、当初この2曲はキャラクターの歌というよりかはコンテンツ、或いはクラブカルチャーそのものを歌ったものだからかなと推測していました。しかし実際のところこの曲はキャラ自身のパーソナルな曲...でありながら、よく読むとDJを楽しむプレーヤーに普遍的に当てはめることができて、当初の予想も間違いではないのかもしれないです。Favorite Daysがプレーヤー→オーディエンスの関係性を歌ったアンセムだったのに対してこの曲はオーディエンス→プレーヤーという関係性が表現されている感じのアンセムなんじゃないですかね。

あと、この曲のこだわりが見える部分がアウトロなんですよ。この曲、アウトロだけが調性が少し崩れているというか、ここだけ別の曲みたいになってるんですけど、明らかにこれって次の曲に繋ぐためのポイントでしょう。これがあるおかげで繋ぎのバリエーションがかなり広くなってるんじゃないかと思うし、ぜひ本人によるここから自分の曲への繋ぎを見てみたいですね。この曲はさすがtofubeatsというか、圧倒的な現場経験を存分に見せつけた曲だったんじゃないかと思います。

 

Haiiro no kokoro (Prod. パソコン音楽クラブ) - 灰島銀華(CV: 澁谷梓希)

作詞・作曲・編曲:パソコン音楽クラブ 再生時間:4分19秒

このエリアの中で大衝撃だった一曲です。90年代~00年代J-POP、特に宇多田ヒカルあたりを彷彿とさせるような甘さとほろ苦さを併せ持つメロディラインと、クラブミュージックならではの優雅なグルーヴの融合。R&Bのような雰囲気を漂わせるこの曲は今までのエリアから見てもかなり異色と言っていいはずです。

まずコード進行。ほとんど普通のダイアトニックコードで出来てない。ダイアトニックコードっていうのはその音階を基礎づける和音なんですけど、ほぼ全てで何かしらの捻りがなされてます。その捻りの一つがジャズ・ブルースで用いられるテンションコードと呼ばれるものですね。例えば歌い出しの部分のコードは「G△7→F#7(♭13)→Bm7」という進行(推測)ですが、この真ん中のコードがこれに当たるやつです。元のセブンスコードに9度、11度、13度のいずれかを足すことで、よりムーディーな響きを演出する作曲技法...なんですけどまぁ、そういうお洒落な技を使ってるんだーふーんくらいに思ってもらえればいいと思います。

まぁここに関してはパ音の曲全般に言えるので良くて、すごいのはそれをそのままそっくりオタク側の世界に持ってきてしまったことなんですよ。二次元コンテンツで声優のハスキーな歌い方を引き出した楽曲ってほとんどないんじゃないんですか?それに単純にこのオーダーに合わせてくるDJずっ a.k.a. 澁谷梓希さんの表現力がすごすぎる。いや、キャラとしての「僕らに手加減はないからね」っていう第一声で既にビビり散らしていたんですが... なんて、曲とボーカルの凄さを語ってたら歌詞解釈の尺が... 銀華さんはボーイッシュで万能キャラをこなす裏で純情な乙女心を燃やすキャラで、「臆病な"僕”を認めて 本当の『わたし』いつか全て見せよう」で一人称を分けているのがそれをよく表していると思いました。それで、本当の姿を見てほしいその相手は誰?ってなったときに、多分それは煌様なんですよね。もしかしてこのエリアも百合なんですか???いや、電音部は百合コンテンツだった???ちょっと今後のストーリー展開が気になってきちゃいましたねこれ。

 

曲全体の感想 & 最後のシブヤエリアはどう来る?

かねてからシブヤエリアを「最強」と謳ってきた電音部ですが、向こうが最強ならこちらは「最上」というべきでしょう。コンポーザーを見てもやはりメインシーンでクラブミュージックをやってきたという実績があるし、「強い曲」ではなく、あくまで「高尚」という言葉が似合う、サブカルっぽさは排した音楽で、本当に各エリアごとのコンセプト分けをしっかりしているのを改めて感じました。前衛性特化みたいな曲はハラジュク・シブヤのインターネット組のフィールドってことですね。

で、先日の企画会議で明らかになった事実が、ハラジュクエリアに5曲目が存在するってことでした。となると、既に18組のコンポーザーの参加が決まっていることからおそらくシブヤも5曲あると考えられます。ここで残りのコンポーザー陣を見ると、YUC'e、Aiobahn、KOTONOHOUSE、PSYQUI、周防パトラ、ミディ&瀬戸美夜子。この中でハラジュクの5曲目を書いてもらうとしたらまぁパトラちゃん様かな~という感じがします。パトラの音楽がこの中だと一番Kawaiiの感じに近いし、いろいろあって彼女のトラックがYunomiの影響を受けているという事実もあります。あとは単純に声優の曲をVtuberが書きおろすとなれば新時代じゃん?という楽しみですね。

そしてもしこうなるとYUC'e、Aiobahn、KOTONOHOUSE、PSYQUIが1つのエリアに集結するってことになります。もはや最強は約束されたも同然では?最初のコンポーザーから強い音を作るトラックメイカーを引き抜けって言われたらほぼ間違いなくこうなるはずです。先日のSmash The Paint!!リリースパーティーで一部公開されたYUC'eの曲を見ても、ここはFuture Core、Future Houseで攻めてくるはずです。VTuberミディもGarage、DnBでかなり強い音を鳴らしてくるトラックメイカーなので期待が持てます。最強のインターネットがぶつけられて来るのを全力で待ってますので。。。

 

 

見えてきた「電音部」の真意

ここまでで5000字書いてるのにまだやる気らしい、、、何卒、、、

☆音楽そのものが「コンテンツ」である

asobimotto.bandainamcoent.co.jp

先日公開されたインタビュー記事ですね。ここから、「電音部」が何を目的にしているのか、要約しながら考えていきたいと思います。

このインタビューの中でまず明らかになったのが、ASOBINOTESというレーベルの設立の上に「電音部」の存在があるということ。つまり、

音楽のためのキャラクタープロジェクト

だということです。つまり、コンテンツそのものが目的であるそれまでのIPとは正反対であり、電音部はあくまで「手段」にすぎないということなんですね。そこが一つ、大きな特徴だと言えます。

☆音楽との遭遇体験、そのために何が必要か

そこで重要になってくるのが大元のコンセプトである「音楽と遭遇しよう」というものです。具体的にどうしていくのかというと、インタビューにもある通りアイドルオタク、アニメ・声優オタク、Vtuberオタクなど、様々な層の音楽をクラブミュージックというインターセクションを通して相互に交流させていく、ということです。先述の通り各エリアごとのコンセプト分けがしっかりなされていて、そうなるとつまり全部刺さる層もいれば、どこか1ヶ所が刺さる層もいるはずです。そうした人達に少しでも違う文化圏の音楽を身近にしてもらいたいという狙いから、IPという形で新たな音楽を発信しようというのがまさに電音部のやろうとしていることのはずです。だとしたら、そのインターセクションに立っている、元からクラブにいたオタクに何か出来ることはないか?といったところで、クラブカルチャーに明るくない層にも分かりやすくその魅力を発信していくことが、今我々に求められている気がします。具体的に?自分が良いと思ったものを内輪だけで終わらせるんじゃなくて、外に向けて共有していく、それだけのことじゃないですかね。多文化間で魅力の共有が進んでいけば自然と垣根は消えてくるんじゃないかと思います。そのための動きを、クラブカルチャーのオタクが先導してやっていくことを提案したいと思っています。

☆リモート時代に即した新たなエンタメの形


『電音部』 生放送特番 -デジタルクリエイティ部-

さらに電音部では、音楽だけではなく、テック系のカルチャーも組み合わせて展開していきたいということもインタビュー記事内で述べられています。そのために活用されるのが「BanaDIVE™AX」と呼ばれるテクノロジーです。どういうものか、簡単に言ってしまえばAIと拡張現実を活用してバーチャルパフォーマンスを行う、というものです。電音部プロジェクトの公開に先立って行われた6月の「ASOBINOTES ONLINE FES」ではGame Floorでミライ小町が早速この技術を使用したパフォーマンスを行ったことで話題になりました。まぁ僕はYUC'e、石濱&秀和と被って見てないのですが... ちなみに上の動画の26:41~ミライ小町のデモプレーを少しだけ見ることが出来るんですけど、もう既にAIのDJ技術はもう違和感なく曲を繋げるレベルにまでは至っていることが分かっていただけると思います。ゆくゆくは実際のライブでもこの技術を利用してキャラ自身がバーチャルライブを行うということを考えているでしょうし、声優がキャラの代わりにステージに立つ時代はもう過去になる日も近いのかもしれません。

さらにこの技術を活用する大きな利点が、リモートでも現地に近い体験価値を得られるということ。今年はCOVID-19の影響下にあり多くのライブが配信で行われるという事態に見舞われましたが、僕は今後もこの配信ライブという形態は残していくべきだと思っています。その理由として地方は都市部に比べて圧倒的にイベントの機会が少なく、遠征には多くの費用と労力がかかるということがあります。こうした現状に対し、配信の体験価値の向上は大きな意義を持つはずです。BanaDIVE™AXではAIが楽曲を解析しそれに即した演出を自動的に行い、さらにそれをAR技術を用いて臨場感を高めるということを行うようで、配信でも同様にARによる演出を行うことを構想しているようです。ちなみに電音部の世界には「FAIHS」と呼ばれる全自動演出システムがあり、その開発元が「ニューコム・エンターテインメント」であることから、同じくバンナムが展開する「UGSFシリーズ」との関連が示唆されることに......

このように、単に新しい音楽を提案するだけでなく、最新の技術の実験・応用を行い、新たなエンターテインメントのスタイルを模索するということも、電音部の目指しているところの一つなんじゃないかと思います。

 

 

おわりに

今回はメディア展開という視点から、電音部についての考察、ならびに少しばかりの提案をさせていただきました。とりあえず、僕が持っている希望は

もっとたくさんの人にクラブに来てもらうための導線を作りたい!

っていうことなんです。先日クラブイベントで統括プロデューサーの方にお会いして前回の記事を読んでいただいたお礼をしたんですが、やっぱり同じように本当にクラブが好きな方なんだなって感じがしました。実際僕も今のようになるまではパリピばっかの怖い場所なのかと思ってたりもしたんですけど、本当に音楽が好きなだけのオタクはちゃんといるし、1人でいたって別に何の問題もないんです。フロアで踊り続けててもバーカンで酒飲んでても、迷惑さえかけなければ何でも楽しみ方は自由な場所なんです。先日のAOFでは16000人がインターネットの向こうで音楽を聴いて盛り上がったわけですが、あれと同じ雰囲気をそのままリアルイベントに持ち込んでいってくれればいいと思うし、そのための場を作る手助けを、可能なら仲間たちと一緒にやっていければいいのかなって思ってます。

やっぱり何よりファンと公式が一体になってコンテンツを作っていけるっていうのが一番電音部の魅力であり温かいところだし、俺にもやれます!やらせてください!っていう思いが強いです。コンテンツを盛り立てていけるオタクであり続けたいですね。

 

次回!シブヤエリアの曲が出たらこれも速攻で上げます!っていうか今残っている面子的にも確実にシブヤが最推しになるんだろうなって感じがあるので。clubasiaでお馴染みの人達をちゃんとシブヤで起用してくるのもやっぱり抜かりないんですよ。。。

あと次は世界観の考察も、楽曲派なりにやっていきたいですね。シンギュラリティ後とか絡んできてかなりサイバーパンクなことになってるのと、あとさっき言ったUGSFシリーズとの関連性とかも、まだまだこのコンテンツは謎だらけなので想像が膨らみます。

 

何とか!何とか前回よりはコンパクトに収まった!1エリア分しか書いてないのに前回より長くなったらどうしようって感じですからね。。。とはいえまたまた限界オタクの怪文書ができてしまったことに変わりはないですね。読んでくださった皆さんありがとうございました、というかお疲れ様でした。。。まだあと1本あります、次回もよろしくお願いします。。。

 

あ、最後に。バンナムの回し者ではありません!!!そこだけよろしく!!!!!